「Continuous Collision Detection」の版間の差分
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実際に[[スーパーコンピューター]]などでの非リアルタイムな物理シュミレーションではこの方法が採用されている。 | 実際に[[スーパーコンピューター]]などでの非リアルタイムな物理シュミレーションではこの方法が採用されている。 | ||
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2022年5月25日 (水) 04:38時点における最新版
連続的衝突判定(英語:Continuous Collision Detection、通称:CCD)とは、物理演算などの当たり判定で発生する「突き抜け」を抑制する方法の総称である。
様々なアルゴリズムが考案されているが完璧なものはない。
概要[編集 | ソースを編集]
ゲームや物理演算などコンピューター上で物体の移動を計算する場合、どうしても「離散的な移動(1フレームごとに飛び飛びに移動)」となる。物体の移動は1フレームごとの移動量を足し算する感じだ。
この際に1フレームの移動量が大きすぎると当たり判定に失敗して壁などを突き抜ける現象が発生する。
このトンネル現象(突き抜け現象)問題を「緩和する方法」が色々と考案されており、それらをCCDという。
解決策:フレームレートを上げる[編集 | ソースを編集]
最強の解決方法は「フレームレートを限界まで上げる」ことである。フレームレートを上げれば「1フレームでの移動量」も減るので結果として突き抜けも減る。なお、この力技の方法はCCDには含まれない。
実際にスーパーコンピューターなどでの非リアルタイムな物理シュミレーションではこの方法が採用されている。
ただゲームなどのようにリアルタイム性が求められる場合には限度がある。 パソコンでもPhysXやBulletなどはGPGPUを使って高速化することで「物理演算のフレームレート」を上げる方法が考案されているが、それでも結構厳しい。 社畜PCやスマートフォンなどのしょぼいCPUでの計算は絶望的に厳しいのは言うまでもない。
解決策:スイープシェープを使う[編集 | ソースを編集]
物体の移動量が一定を超えた場合に、 移動元と移動先を結ぶ「一時的な架空の物体(スイープシェープ)」を動的に生成して、そいつで当たり判定を行う方法である。
この方法は直線的な移動にしか対応できないという欠点がある。右下から銃が生えたゲームの銃弾などでは正常に動作するが、ピンボールのフリッパーのような回転運動の場合には突き抜けが発生する。