「タイルベースレンダリング」の版間の差分

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'''タイルベースレンダリング'''([[英語]]:tile based rendering)とは、 [[コンピューター・グラフィックス]]において、1つの画面を描画生成する際に、1画面を複数のタイルに分割してタイル単位で描画を行う手法である。
'''タイルベースレンダリング'''([[英語]]:tile based rendering)とは、 [[コンピューター・グラフィックス]]において、1つの画面を描画生成する際に、1画面を複数のタイルに分割してタイル単位で描画を行う手法です。古くは「チャンクレンダリング」「分割レンダリング」などとも呼ばれました。
 
古くは「チャンクレンダリング」「分割レンダリング」などとも呼ばれた。
==概要==
==概要==
タイル方式は大雑把にいえば「[[メモリ]]の容量と帯域を節約する手法」である。
タイル方式は大雑把にいえば「[[メモリ]]の容量と帯域を節約する手法」です。


「少ないメモリ」「遅いメモリ」という条件下では 従来方式では[[シェーダー]]が空回りしてハナクソほじってる時間が長くなるが、 タイル方式であれば[[シェーダー]]を遊ばせることなくフル稼働させやすい。なお、「メモリ負荷は下がる」が「シェーダー負荷が上がる」という欠点もある。
# バーテックスシェーダーを実行する
# 頂点をタイルに割り当てる
# タイル単位でピクセルシェーダーを実行する


20世紀のメモリ容量が数MBだった時代には夢のような技術あり、 「[[ハードウェア]]を安く作れると夢のような手法」だと言われた。
一般的なレンダリングと比べて「頂点をタイルに割り当てる」という余計な処理が増えていますが、メモリ転送を複数のピクセルシェーダーの裏で細かく分散できるという利点があります。


== 採用事例 ==
「少ないメモリ」「遅いメモリ」という条件下では 従来方式では[[シェーダー]]が空回りしている時間が長くなりますが、 タイル方式であれば[[シェーダー]]を遊ばせることなくフル稼働させやすいという特性があります。
タイルベースレンダリングは、[[マイクロソフト]]が絶賛し「[[Talisman]]」をぶち上げ、[[NEC]]が「[[PowerVR]]」を製造してしまい、[[セガ]]が[[ドリームキャスト]]に採用された。 一方、[[プレイステーション2]]は「[[力こそパワー]]」であると2560ビットの超高速バスを採用した。


21世紀になるとタイルベースレンダリングは「忘れ去られた技術」になっていたが、[[iPhone]]が採用し復活を果たした。 これは[[スティーブ・ジョブズ]]の厳しい筐体サイズや消費電力への要求に応えるためだと思われる。
20世紀のメモリ容量が多くても数MBだった時代には夢のような技術あり、「[[ハードウェア]]を安く作れると夢のような手法」だと言われました。
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==利点:メモリを節約できる==
==利点:メモリを節約できる==
一般的なレンダリング手法では描画作業用に画面解像度相当の[[カラーバッファ]]や[[深度バッファ]]や[[ステンシルバッファ]]などを必要とする。 これらは20世紀の[[パソコン]]で主流だった[[VGA]]([[640x480]])でも1MB以上が必要になる。 さらにこれを60fpsで描画しようとするとメモリ帯域が問題になる。
一般的なレンダリング手法では描画作業用に画面解像度相当の[[カラーバッファ]]や[[深度バッファ]]や[[ステンシルバッファ]]などを必要とします。これらは20世紀の[[パソコン]]で主流だった[[VGA]]([[640x480]])でも1MB以上が必要です。


一方、タイルベースレンダリングでは作業用に必要なメモリ容量が「タイルの大きさ」で済む。16x16や32x32という超低解像度を格納する程度のメモリなら超高速な[[SRAM]]でも安い。
さらにこれを60fpsで描画しようとするとメモリ帯域が問題になります。
 
一方、タイルベースレンダリングでは作業用に必要なメモリ容量が「タイルの大きさ」で済みます。16x16や32x32という超低解像度を格納する程度のメモリなら高価で高速な[[SRAM]]も採用できます。


[[ファイル:Tiled base rendering 1.png|none]]
[[ファイル:Tiled base rendering 1.png|none]]


なお、メモリ容量については昨今のバカみたいにメモリを搭載した[[パソコン]]や[[スマホ]]では[[フルHD]]([[1920x1080]])でも数十MB程度なのであまり問題にならない。
なお、メモリ容量については昨今のバカみたいにメモリを搭載した[[パソコン]]や[[スマホ]]では[[フルHD]]([[1920x1080]])でも数十MB程度なのであまり問題にならなくなりました。


一方、メモリ帯域に関しては今でも厳しい。 [[パソコン]]向けの[[ビデオカード]]では「やれ[[GDDR]]だ」「やれ[[HBM]]だ」と力技で解決が試みられているが、 [[スマ]]ホはバカみたいに遅い[[LPDDR]]がいまだに主流なので問題になることが多い。
一方、メモリ帯域に関しては今でも厳し状況が続いています。[[パソコン]]向けの[[ビデオカード]]では「やれ[[GDDR]]だ」「やれ[[HBM]]だ」と力技で解決が試みられていますが、スマホはバカみたいに遅い[[LPDDR]]がいまだに主流なので問題になることが多くあります。


==利点:タイルを再利用できる==
==利点:タイルを再利用できる==
シーンの「動きが小さい」と判断した場合、クソ真面目に描画せず、前フレームで生成したタイルに[[アフィン変換]]をかけたものを出力することで手抜きができる。あくまで近似画像であり、当然ながら画質は微妙になるが、描画負荷は大幅に下る。シーンの動きが大きい場合は残念なことになる。地味に20世紀の[[GPU]]では重要な要素だったようだ。
シーンの「動きが小さい」と判断した場合、クソ真面目に描画せずに、前フレームで生成したタイルに[[アフィン変換]]をかけたものを出力することで手抜きができます。あくまで近似画像であり当然ながら画質は微妙になりますが描画負荷は大幅に下がります。シーンの動きが大きい場合は残念なことになります。地味に20世紀の低性能な[[GPU]]では重要な要素だったようです。


==欠点:オーバードローが発生する==
==欠点:オーバードローが発生する==
「タイルをまたぐ[[ポリゴン]]」を描画する場合はそのタイル数だけ[[シェーダー]]が動くことになる。いわゆる[[オーバードロー]]である。
「タイルをまたぐ[[ポリゴン]]」を描画する場合はそのタイル数だけ[[シェーダー]]が動くことになります。いわゆる[[オーバードロー]]です。


以下の例では1[[ポリゴン]]を描画するのに灰色の4タイルそれぞれで[[シェーダー]]が動いてしまう。
以下の例では1[[ポリゴン]]を描画するのに灰色の4タイルそれぞれで[[シェーダー]]が動いてしまいます。
[[ファイル:Tiled base rendering 2.png|none]]
[[ファイル:Tiled base rendering 2.png|none]]


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# タイル単位でピクセルシェーダー実行
# タイル単位でピクセルシェーダー実行


この処理はシーン内のポリゴン数が増えれば増えるほど重くなる。
この処理はシーン内のポリゴン数が増えれば増えるほど重くなる。[[PowerVR]]が登場したころの[[ローポリゴン]]が主流の時代には問題にならなかったが、ポリゴン数が激増すると、この処理は無視できないほど高負荷になった。
[[PowerVR]]が登場したころの[[ローポリゴン]]が主流の時代には問題にならなかったが、
ポリゴン数が激増すると、この処理は無視できないほど高負荷になった。


== 採用事例 ==
タイルベースレンダリングは、[[マイクロソフト]]が絶賛し「[[Talisman]]」をぶち上げ、[[NEC]]が「[[PowerVR]]」を製造してしまい、[[セガ]]が[[ドリームキャスト]]に採用された。 一方、[[プレイステーション2]]は「[[力こそパワー]]」であると2560ビットの超高速バスを採用した。
21世紀になるとタイルベースレンダリングは「忘れ去られた技術」になっていたが、[[iPhone]]が採用し復活を果たした。 これは[[スティーブ・ジョブズ]]の厳しい筐体サイズや消費電力への要求に応えるためだと思われる。
== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[フォワードレンダリング]]
* [[フォワードレンダリング]]
* [[遅延レンダリング]]
* [[遅延レンダリング]]