カプセル化(プログラミング)

提供: MonoBook
2020年6月29日 (月) 02:01時点におけるAdministrator (トーク | 投稿記録)による版
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カプセル化英語:encapsulation)とは、オブジェクト指向を構成する概念の一つで、オブジェクト内部のデータを隠蔽したり(データ隠蔽)、オブジェクトの振る舞いを隠蔽したり、オブジェクトの実際の型を隠蔽したりすることをいう。

危険性

かつて偏差値の低い学校向けの情報処理系教科書において「カプセル化は大変すばらしいものであり絶対に使うように」と大体的に宣伝された。

一方、カリフォルニア大学バークレー校の有識者を中心とした「インターネットを作った人たち」は「階層化の有害性RFC 3439)」として「カプセル化は絶対にやめろ」としている。

大雑把にいうと、教科書の上では素晴らしく、最初のうちは良いが、将来的な改修の際に隠蔽されたデータにアクセスできないと解決できない問題が出てきて、非常に高確率でデスマーチに陥るというのである。

オブジェクト指向の発案者であるアラン・ケイコーディング規約(頭文字にアンダースコアを付けるなどの命名規則)で縛る程度にすることを推奨しており、アラン・ケイが関わったオブジェクト指向プログラミング言語にはどれも「private」などという概念はない。

ソースコードが存在し改修が可能であればカプセル化しても問題ない。ソースコードがあってもライセンス的に改修できない場合や、そもそもバイナリライブラリしかない場合などは絶望的である。

実例

XNAMonoGame)では標準で3Dモデルを手軽に扱えるModelクラスが用意されている。 1行で読み込み、1行で描画できる素晴らしいものだ。

ただしこのModelクラスを使うと頂点データは遮蔽されておりアクセスできない。 物理演算エンジンに食わせるのにどうしても頂点データが必要なのにだ。

世界中の誰もが同じ問題で悩んでいるようでstackoverflowに回避策が書いてあった。内部でGPUへ送信したときに使用したGPUにアクセスする関数ポインタは公開されているのでGetData関数でそのまま返してもらうトリッキーなコードでめでたく回避できた。

しかし、時は流れこの方法では動かない環境が登場した。iOSAndroidだ。こいつらが採用するOpenGL ESはGPUとの通信が一方通行だ。そこで事前に3Dモデルから頂点データを抜き出し別ファイルに保存しておくという一段とトリッキーな方法で回避する。みごと1モデルのファイルが2個になりました。

さらに時は流れた。あるとき謎の不具合が発生。連日連夜のデバッグ作業。原因は片方のファイルの更新を忘れていただけでした。

カプセル化は恐ろしいね!!

関連項目