リンクアグリゲーション

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リンクアグリゲーション英語:link aggregation)とは、複数の物理的なネットワーク回線(LAN回線)を仮想的に束ね、あたかも1本の回線であるかのように扱う技術のことである。一部ではチーミングなどとも呼ばれる。

概要[編集 | ソースを編集]

大雑把にいえばストレージで用いられるRAIDのようなもののネットワーク版である。

注意[編集 | ソースを編集]

リンクアグリゲーションの仕様はIEEE P802.3adとして2000年3月に標準化されているが、この他にも様々な独自方式が今なお乱立している。そのため互換性には注意する必要がある。 同様にシスコEtherChannelなど、中身はIEEE P802.3adだが独自名称も乱立しているので注意しよう。

利点[編集 | ソースを編集]

リンクアグリゲーションを用いると物理的なネットワーク回線の仕様帯域を合計した量の帯域を使用できるようになる。例えば1GbpsのLANケーブルを4本束ねれば4Gbpsの回線となる。IEEE P802.3adの仕様上では最大8回線をまとめることができる。

また、物理回線のうち1経路に不具合が生じたとしても、生き残っている他の回線で通信を継続でき、障害耐性を高めるためのネットワーク回線の冗長化手段として意味も大きい。たとえばVIA Technologiesキオスク端末などを想定したマザーボードでは、この冗長化を主目的としてオンボードGbE端子が2ポート搭載されており、たとえ1本のLANケーブルが切れても通信を継続できるようになっている。

ソフトウェア開発を行う立場の視点から見た場合、例えばTCP/IPを利用するプログラム側からは1個のネットワークカード(1個のIP)に見えるため、ソフトウェアを作る時点でのソースコードレベルでの対応は不要であり、それらの処理を個別に書く場合に比べ大幅に工数を減らすことができる。

欠点[編集 | ソースを編集]

リンクアグリゲーションを利用するにはネットワークカードとそのドライバ、通信経路中にあるハブルーターなども対応製品を用いる必要がある。もともとサーバー向けの技術であるため、当然のように家電量販店パソコンショップなどで売られている安物は非対応製品ばかりである。なお、最近ではネットギアなどから1万円で買える安い製品群も出ておりPCパーツショップなどでも手に入るようになりつつある。

あくまでLAN向けの技術であり、WANでは使えない。WANであってもLAN配線方式の光回線サービスであれば応用できそうではあるが、現状ではリンクアグリゲーションに対応した光回線業者もISPもない。それどころかLAN配線方式自体が下火だったりする。

また、一部のメーカーのLAN端子が複数付いたサーバーでは、ハードウェア的にはリンクアグリゲーションに対応しているが、ドライバにおいてソフトウェア的に利用制限を掛けている物もあり、それらでは別途ライセンスを購入しないと利用できないようになっている。この傾向は大手メーカーほど高い。

その他[編集 | ソースを編集]

リンクアグリゲーション対応製品は比較的高価であるが、リンクアグリゲーション対応のネットワークカードだけならば個人でも買えない価格帯ではないので2枚ほど買い、ハブなどを介さずにLANケーブルPCを直結することで楽しむこともできる。また、VIA Technologiesのリンクアグリゲーション対応マザーボードがCPUなども全部付いて1枚2~3万円程度なので2~3枚ほど買って繋いでみるのも面白い。ネットギアスマートハブであれば1万円で買えるよ。

リンクアグリゲーションを利用することをトラッキングという。

似たような言葉として、KDDIが開発した無線通信用の「リンクアグリゲーション無線技術」という技術的にも名称的にも非常に似ているがまったくの別物もある。

関連項目[編集 | ソースを編集]

参考文献[編集 | ソースを編集]