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冗長化(じょうちょうか、英語:redundancy)とは、事故災害などのリスクに備え、冗長に予備機材や予備回線を用意しておくことである。

目次

概要編集

ハードウェア編集

冗長化は主にハードウェアに対して使われることの多い用語である。たとえばRAIDによるストレージ中のデータの保護などがそれにあたる。また1台のコンピューターの内部でのみ冗長化をするのではなく、複数台の予備のコンピューターを用いて冗長化をするフェイルオーバークラスターなど技術などもある。

とくにサーバーダウンなどの緊急停止は連鎖的にシステムを崩壊させることもあるため、個人や事務で使われる端末(≒パソコン)などよりも徹底した冗長化が求められることが多い。

ただし、ひたすら冗長化を追求しても単一障害点の排除は非常に難しいものであり、定期的なバックアップこそが最も重要であると言われている。

ソフトウェア編集

冗長化はハードウェアのみならず、ソフトウェアの開発時やシステムの運用時の人的リソースについても同様である。

昨今では、この点を説明しないIT企業、またはそもそも理解していない者がソフトウェアの開発案件を受注するケース多く、そのようなケースでは主力プログラマーの事故病気や、デスマーチの発生などによりIT土方不足に陥ると、緊急招集された追加人員への説明や指導なども時間的な制約で追いつかず破綻するという事も多い。いわゆる「人月の神話」に書かれているそのものな状況である。なお、リアル土方の世界では事故死する者が発生する前提で見積もりを出していることが多い。

また、効率化を突き詰めるあまり、複雑な構成(密結合)にしすぎて、天才的技術者がひとり抜けた後に発生したトラブルで誰も直せず崩壊した、などという目も当てられない事態に陥っている案件も非常に多いのも事実である。

まっとうな企業の見分け方としては、例えばペアプログラミングを実践しているなどの複数のチェックポイントはあるのだが、それらの現場レベルは発注者側からは見えにくいのも事実である。

価格的な側面編集

冗長化には非常にお金がかかる。たとえばRAID1を用いてHDDを冗長化するにしても、HDDは最低2個必要であり、さらにそれを制御するRAIDコントローラーなどの機構も必要となるため、最低でも2~3倍以上の出費を余儀なくされる。いわゆる冗長化を突き詰めれば費用は倍々ゲームで増えるのである。

ちなみに金融機関などの絶対に万が一が許されない分野では、データセンターまるごと冗長化されているのが一般的である。このデータセンターレベルの冗長化の技術的な敷居はAmazon EC2などの登場で中小企業でも利用できる環境は整いつつあるが、それでも中小企業では金銭的に難しい話なのは変わりない。

なお、不毛な価格競争を行っている企業などでは目下の見積書を安くするため冗長化に関する部分が省かれていることが多い。冗長化を怠った末に最終的に被害を受けるのは発注者(利用者)側であり、ただ「安い」という理由で採用するのは非常に危険である。いわゆる「Write Once, Run Away」な「売り逃げ」が発生すること間違いなしである。

「なぜ冗長化が必要なのか?」「なぜバックアップが必要なのか?」を聞いてもいないのに熱く語ってくるくらいが丁度よく、「どの程度まで必要なのか?」を前もって徹底して話し合うこと重要であり、そのバランス感覚をしっかりと説明できるところに発注しよう。

主な冗長化技術編集

関連項目編集

参考文献編集