星をみるひと

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星をみるひととは、1987年10月27日にホット・ビィから発売されたファミリーコンピューター用のゲームである。STARGAZERパチモノである。

概要[編集 | ソースを編集]

退廃的なサイバーパンク風の未来世界で、超能力を持つ主人公みなみが、襲って来る「サイキック狩り」と戦いながら仲間を増やして進んでゆくSFロールプレイングゲーム。

同社が1984年にPC-8801およびFM-7で発売したゲーム『サイキックシティ』の続編的な位置づけとなっていて、超能力者などの設定やバックグラウンドを引き継いでいる。また、全体的にヒントの少ない謎解き、単純な勧善懲悪ではないSF的ストーリー、序盤から高めの戦闘バランス、プレイヤーの選択によって変わるエンディングなど、作りは当時のパソコンゲーム寄りである。

2016年現在、株式会社シティコネクションが版権を持っており、サウンドトラックなどがリリースされている。

ゲーム内容[編集 | ソースを編集]

サイバーパンク的な世界観のシナリオやBGMに関しては評価が高いものの、システムの仕様から快適性やゲームバランスに問題があり、クソゲーと呼ばれることもある。その理不尽さから「攻略本がなどがない場合、このゲームでできることは実質的に『歩く』『死ぬ』の2種類だけとなる」と評する文献もある。

マップ関連[編集 | ソースを編集]

  • 開始直後、主人公は何の指示も与えられないままフィールドに放り出される。しかも最初に向かうべき町は「超能力で隠れている」という設定で見えない。さらにHPなどを回復することができるポイントがこの町にしか無いため、この町に気づけなければストーリーの進行以前に敵との戦闘などでゲームを進められない。
  • キャラクターの移動速度が極めて遅く、1マスの移動に1秒近くかかる。町の中のNPCなどに追いつけずに話しかけにくい。
  • 町などの子マップからフィールド上に戻ったり、敵との戦闘から「てれぽーと」のESPでの逃走に失敗したりすると、元の場所ではなく、フィールドごとに決まったポイントに飛ばされる。例えば、2つめの町に入りその町から出ると、その町がある場所ではなく、1つめの町があった場所に戻される。場合によっては、物語進行上先にあるはずの行ったことのない場所に出てしまう。
    • 町から出ると遠くの場所まで飛んでしまうため、フラグを立てるために町を往復するというRPGでは基本のはずの作業ですら困難となる。
  • 中盤以降、ドアを開けるために必要となる「IDかーど」が最強クラスの装備品並、あるいはそれの数倍もの値段と高価である上に、使い捨てである。
    • しかも一度開けてもドアはまた閉まるため、一枚しかかーどを持たない状態でドアのある部屋に入ると閉じ込められ、セーブ・リスタートを余儀なくされる事がある。
    • さらに、このIDかーどを購入するための資金を溜めようとしても、後述のパスワードの問題によりお金を溜めること自体の難易度が高い。
    • 一応、このIDかーどをタダでくれるNPCが存在するが、やはりノーヒントであり、気づかずにまじめに金を溜め続けるプレイヤーは多い。
  • クリアに不可欠な特定アイテムの入手方法が、「マップ上の特定地点を通過する」というもの。全く見えず、しかも入手してもわずかな効果音がするのみ。
  • フィールド内には歩くとダメージを受ける場所が存在するが、ダメージを受けている事に気づかせる描写が一切ない。そして、キャラクターが死んだ時に初めてそのメッセージが表示される。そのため、キャラクターが死んで初めて気が付く、ということがある。

パスワード関連[編集 | ソースを編集]

  • パスワードの文字数や文字種類が多く、ゲーム内の会話のテキストではアルファベットと平仮名しか使われていないのに、パスワードのみ片仮名や特殊記号も使用されている。中には見た目で区別しにくいフォントもあり、念入りな確認が要求された。
  • パスワードの文字入力は文字一覧から選択するのではなく、十字キーの上下で「あ⇔い⇔う⇔…」というように一文字ずつ送らなくてはならず、時間がかかる。
  • 正しいパスワードの入力を完了できたとしても、前回パスワードを聞いて終了した時点の状態が正しく再現されない。
    • 「じゃんぷ」で登録したワープ先のポイントは再開するたびに全箇所リセットされ、初期値である「まむすのむら」になる。
    • 所持金の情報も大幅に簡略化され、「256単位」でしか記憶されず、所持金を256で割って出た端数は消えてしまう(例:550の所持金を持っていた場合、256で割ると2あまり38なので、38が消えてなくなって512から再開する)。なお、ゲーム内で購入するアイテムの値段の桁からして所持金200以下であることが多いため、ほとんどの場合は全額消える。
    • キャラクターの経験値も「4単位」で記憶され、最大3ポイント消失する。これによってレベルが上がるポイントを割った場合、ゲームを再開するとレベルが下がるという事が起こる。
    • 「くすりのもと」の情報は一切記憶されず、再開するたびに何も持っていない状態に戻る。
    • 「あいてむ」の情報はある程度記憶されるが、所持数が奇数であるか偶数であるかによって、「BOMB」と言うアイテムが勝手に所持品に追加されたり、勝手に削除されたりする。

戦闘[編集 | ソースを編集]

  • 戦闘から逃走するコマンドがない。「てれぽーと」というESPで敵から逃げられるが、主人公のレベルがある程度上がらないと使えないため、序盤は逃走自体が不可能である。
    • 仮に覚えても味方を1人ずつ離脱させるものであるため、一気に全員逃げることができない。失敗すると全員が一気に飛ばされるが、エンカウントした場所に応じて全く別のところに飛ばされてしまう。
    • 味方全員を一度に離脱させるESPも別途存在するが、エンカウントした場所には戻らない上、習得するのは最後であるため、ほとんど利用価値が無い。
  • ゲーム開始直後の初期状態で、いきなり「ふっかつしゃ」や「さらまんど」などのどうしようもない敵に遭遇することが低くない確率で起こる上、最も弱い敵でも慎重に戦わないと負ける。
    • 「ふっかつしゃ」はゲーム開始直後から出現する可能性がある敵であるにも関わらず、主人公が一番後に覚えるような最強レベルのESPを使うため、レベルが上がらない内に遭遇すると有無を言わさず瞬殺される。
    • なお、ふっかつしゃに限らず、ゲーム開始直後に出現する可能性のある敵のうち、およそ半分は「相手の攻撃は3発でこちらのHPを0にする程度なのに、こちらは相手を倒すのに平均して5回以上の攻撃を必要とする」と言うような、初期レベルではまず勝てない相手である。しかもそれが複数一度に出現することさえある。
    • 「さらまんど」については本体の強さ自体は初期レベルでも何とか勝てる範疇であるが、問題点は後述。
  • 戦闘中にコマンドのキャンセルバックができないため、ただでさえシビアな戦闘において無駄な行動をしてしまう危険が高い。
  • 武器や防具は次の装備と買いかえるまで外せない。新たに装備を買うと前に装備していた物は自動的に売却されるが、このとき売却したことを伝えるメッセージがなく、破棄されていると勘違いされやすい。
  • 攻撃力を上げるものであるはずの武器を装備するタイミングを誤ると、敵が倒せなくなりゲームが詰んでしまう危険がある。
    • これは素手の時と武器を持っている時のダメージ計算式の違いが原因である。素手の時はキャラクターのレベルや敵の防御力などに一切関係なく0〜3の間でランダムにダメージを与えるようになっているが、武器を何か持っている場合、「自分の攻撃力-敵の防御力」で固定になる。レベル初期値付近で安い武器を装備すると、周囲に出現するどの敵の防御力よりも低い攻撃力しか得られず、誰に対しても絶対にダメージが与えられない状態に陥る。攻撃用のESPも未習得だった場合、敵を倒す手段がなくなってしまう。
    • 上記の「武器は新しいものに買い換えるまで外せない」仕様のため素手に戻ることもできない。敵を倒せなければお金を稼いで新しい武器を買うことも、レベルを上げて攻撃力を上げることも攻撃用ESPを覚えることもできないので、ゲームが詰んでしまう。
  • 「さらまんど」などの敵が投げる「かりう」を喰らうと「びょうき」というバッドステータスになる。「びょうき」になると一切の行動ができなくなる上、この状態は戦闘中には回復する事が無いため、実質的に回復手段が異なるだけの「しぼう」である。
    • この「かりう」による「びょうき」は防ぐ手段が無いため、いくらレベルを上げても相手によっては常に全滅の危険がある。「びょうき」になった後で治療するESPは存在するが、仲間のうち1人が終盤に覚えるのみで、その仲間が「かりう」を喰らうと何も手を打てなくなる。
    • なお、実際にゲームオーバーになるのはその後パーティ全員のHPが0になって実際に死んだ時だが、非常に死にやすい序盤とは逆に終盤になると敵の攻撃力に対しプレイヤーキャラクターの体力が豊富すぎる状態になっており、実際に全滅するまで延々と攻撃されるのを見守るのみとなり、非常に時間がかかる。
  • RPGでは恒例のラストボスとの戦闘が存在しない。最後の選択肢で「たたかう」を選んだ場合、そのままエンディングとなり、その文中で主人公たちが敗北したことが伝えられる。

くすり[編集 | ソースを編集]

このゲームでは、手に入れた「くすりのもと」をまむすの村にいる薬剤師に調合してもらうことで、薬を手に入れることができる。ただし、「かりう」はマイナスアイテムで、うっかり使うと病気に侵されてしまう。敵に使うことはなぜか不可能。

エンディング[編集 | ソースを編集]

エンディングは主人公の選択によって3つに変化する、マルチエンディングシステムである。

ストーリー(ネタバレ注意!)[編集 | ソースを編集]

未来。「聖府」と呼ばれる機関に管理された巨大都市「コクーン」の一角から、記憶喪失の「サイキック」みなみの物語は始まる。 「サイキック狩り」と称し、様々な機械や生物が「サイキック」であるみなみ達を日常的に襲撃していた。 「サイキック」とは、「サイキック狩り」とは何なのか? 真相を解き明かすべくみなみは立ち上がる。

「コクーン」は、様々な機械や生物を生み出す等の超常現象を起こす物質「クリスタル」の力により守られている。 「聖府」は「クリスタル」の力を利用し、「コクーン」を統治・管理しているのだ。

物語の終盤、本来人類のいた地上世界「パルス」を脱出し、新たに人類の移住すべき場所を求めて「コクーン」は宇宙の旅路の途上であることが明らかになる。 「コクーン」は、人類が種としての生き残りを懸けて外宇宙へと飛び出した、いわば巨大なスペースコロニーだったのである。

「コクーン」に住む人々は、「クリスタル」のマインドコントロールの影響下にあり、これらの事実・認識を記憶として持っていない。 記憶操作により、「コクーン」の外側は忌むべき空間「パルス」であると考えている。 これは、人類が出来るだけ「パルス」に住んでいた頃と同じ様な自然な形のまま「コクーン」での生活が送れる様に、また、本来は忌まわしい空間などではない地上世界「パルス」への望郷の念を持たぬ様に、との「クリスタル」の意思である。 だが、600年以上も「コクーン」で管理された人類の中に、ある日「クリスタル」によるマインドコントロールの影響を受けない人種が現れた。 それが「サイキック」である。

「サイキック」でない普通の人々は、「サイキック」は『「パルス」の影響を受け突然変異した人類の敵』であるから「サイキック狩り」に遭うのだと理解している。 しかし、「聖府」の中枢を掌握する「ファルシ」である「イルカ族」「シャチ族」達にとって、「サイキック狩り」の本当の目的は別のところに有った。 様々な試練を乗り越え、みなみ達はこの世界の謎に、そして人類にとっての最大の選択に迫る。

基本用語[編集 | ソースを編集]

コクーン(Cocoon)
物語の舞台である巨大都市。周囲の海が汚染されている。サイキックが捕らえられている。サイキック探知機を持った警備員が巡回している。
パルス(Pulse) 
コクーンの外界。忌むべき存在。本来は、人類の祖が住んでいた場所を「パルス」と言った。
あくあ(Aqua) 
コクーンが長い宇宙航行の末に辿りついた水の惑星。クリスタルの選んだ新たな移住先。
クリスタル(Crystal) 
コクーンの住民をマインドコントロールによって支配・管理しているスーパーコンピュータ。マインドコントロールによって、人々からその存在の記憶は消されている。本来は住民の「悪意」を取り除き治安を維持するのが目的であったが、600年という長い年月を経て、現在は人間でない別の生物(イルカ族・シャチ族)を主としたため、「人間(サイキック)」の運命は大きく変わる。現在のクリスタルの主目的は、「主」を新しい「パルス」へと導く事である。なお、マインドコントロールは完全でなくなっているようだ。
サイキック(Psychic) 
クリスタルによるマインドコントロールの影響を受け付けない新たな人間。まじめに情報収集をすれば、彼らがクリスタルによって作られたミュータントである事が、物語後半に判明する。また、宇宙服無しに酸素パイプのみで宇宙空間に出られる、移住前に改造が必要な惑星に行ける、など、普通の人間では生存できない環境でも対応できる能力を持っていると推測できる。
サイキック狩り(Psychic-hunting) 
クリスタルに操られたロボットや生物兵器が行うサイキック捕獲。彼らはサイキックを見つけると突然襲ってくる。クリスタルに洗脳されている人々は、サイキックが「人類の敵」であるためサイキック狩りが行われていると理解している。しかしその真の理由は、「新しい主」が彼らと対等に話が出来るアシスタントを欲したため。
ファルシ(fal'Cie)
コクーンの創造者とされている。
ルシ(l'Cie) 
ファルシに選ばれし者。人類は自分達がルシであると考えているが、実は人類の敵とされたサイキックこそが本来のルシである。

登場人物[編集 | ソースを編集]

みなみ
主人公。サイキックの少年。記憶を失っている。特定のブロックを壊す「ぶれいく」が得意。
しば
サイキックの少年。瞬間移動「じゃんぷ」が得意。発電所に捕らえられている。
みさ
サイキックの少女。ダメージ床を無傷で歩く「しーるど」が得意。仲間にする手順が大変面倒かつ難解なため、ほとんどのプレイヤーが仲間にする事が出来ず、それ以上進めないと思い込みクリアを諦めた人も多い。行政区に監禁されている。
あいね
サイキックの少女。心の声を聞く「てれぱし」が得意。ゲームの流れからは、しばの次に仲間になる「3人目」キャラなのだが、画面では最後尾に置かれている「4人目」キャラという不思議な扱い。「コクーン」の居住区にたどり着ければ簡単に仲間になるが、居なければクリア不可能な最重要キャラである。
まむすの村にいるサイキック(名前無し)
「しーるど」の能力者で、話しかけると味方を回復してくれる。若くないらしいので仲間にはならないが、みさが「コクーン」行政区の収監施設に居る事を教えてくれる。
でうすの村にいる老人(名前無し)
幼い頃のみなみを「コクーン」行政区から連れ出した人物。
かつま大佐
かつてはサイキックを「人類の敵」と考えていたが、そうではない真実を知り、みなみ達に希望を託す。
行政区の病院にいる男(名前無し)
みさの所在について知っているらしい男。
まっくす
病院にいる男が「仲間について知りたければ会って来い」と言った青年。
なたーしゃ
みさの所在を知っている、もう一人の人物。警備室の管理をしている青年・あーさとは知り合いである。口調と名前は女性だが、ドット絵が汎用男性の使いまわしなため、一部のファンの間からはオカマではないかとも言われている。
イルカ族
人類以上の知能を持つ生命体。惑星「あくあ」を自分たちが住める環境にするためのアシスタントを欲している。サイキック達とは共存が可能と考えている。
シャチ族
人類以上の知能を持つ生命体。人類には進歩がなく共存は不可能と考え、サイキックも信用していない。それに加え、イルカ族よりも自分達の方が優れてると考えており、対立している。

イルカとシャチはクジラの仲間なんだから喧嘩すんなよ。

リメイクについて[編集 | ソースを編集]

本作は不可解なシステムや理不尽なバグのため世間一般ではクソゲー扱いされている。

しかしながらSFに裏付けされたストーリーの評判は決して悪くなく、クソゲー竜王戦などでは先のエラーに起因して扱われることが多かった。リメイクの期待はあったのもの製作会社が倒産しているため可能性は皆無であった。

が、有志によりシステムは流用せすストーリーのみを有用したものの再開発が行われフリーソフトとして公開されている。

関連項目[編集 | ソースを編集]