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FRONT MISSION ALTERNATIVE(フロントミッション オルタナティヴ)とは、1997年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)が発売したリアルタイムシミュレーションRPGである。

目次

概要 編集

フロントミッションシリーズの4作目として1997年に発売。フロントミッションの外伝作品ではあるが同様に外伝作品の『ガンハザード』とは異なり、歴史や世界観はナンバリングシリーズと同一である。

FRONT MISSION2』とほぼ同時期に制作されたが、『2nd』が前作『FRONT MISSION1』の正統進化形であったのに対し、本作はより挑戦的なスタイルを目指し『2nd』とは異なるチームにより開発された。ジャンルもフロントミッションシリーズでは初となるリアルタイムシミュレーションRPG。

2006年10月05日には廉価版「アルティメットヒッツ」として再発売した。また、2008年10月29日からはゲームアーカイブスダウンロード販売されている(配信当初はタイトルの「オルタナティ」が「オルタナティ」となっていた)。

ゲーム内容 編集

西暦2034年、人型兵器WAWが初めて実戦投入されたアフリカ紛争を舞台に繰り広げられる物語。プレイヤーは3ユニットから構成される小隊にリアルタイムで指示を出してミッションを遂行していく。また、ゲームの進行によってエンディングが分岐(4種+α)するのが特徴。

評価 編集

戦場という明らかに玄人向けの素材に遊びなしで真正面から向き合った作品であり、全面真っ黒という不親切過ぎるパッケージに代表されるように媚の全く無い販促が行われた。結果売り上げは5万本に終わるも、シンプルであり、意外と爽快な戦闘シーンや初期のナンバリングタイトルとも一線を画すような戦場の空気感は後に高い評価を受け続けていくこととなる。

主人公は与えられた命令を着実にこなしていくだけであり、私情が入る余地は存在しない。また、シリーズの中でも特に実験作の香りが強い作品である。2006年に再発売された際に、発売元のスクウェア・エニックスは本作を「早すぎた名作」という表現を用いて評価している。

一方で本作への批判として、設定した通過点間を直線で移動しようとするため、通行不可能な地形(ガケやビルなど)に向かって歩き続けるなどAIが未熟すぎる、との指摘がある。

ゲームシステム 編集

エンディングが分岐するとは前述したとおりであるが、実はシステムを熟知した腕の良いプレイヤーであるほどに紛争が早く終結(最短で6ミッション)し、真のエンディングから遠ざかる仕掛けとなっている。

紛争の長期化はアフリカにより多くの被害を与えることになってしまうが、早期終結によっては紛争の根本的原因である歪みを叩くことが出来ない。結果、長期的にアフリカが大国の食い物にされてしまうことも事実。

ヴァンダー・ヴァーゲン 編集

本作では、他のシリーズに登場する「ヴァンツァー(以下WAP)」ではなく、その前身にあたる「ヴァンダーヴァーゲン(旧称ヴァンドルング・ヴァーゲン)(以下WAW)」と呼ばれる人型兵器が主役である。まさに箱に手足を付けたかのような無骨なデザインが特徴。ポリゴン数こそ限られているものの、それはデザインとも合致し、きしむ鉄感をも表現している。

パーツを組み合わせるWAPとは異なり、機体は固定されており、兵装(メインアーム/バックウェポン)、シールド、ボルトオンの装備を行う。ただし、紛争後期では敵側に初のWAP「シケイダ」が配備されたり、自軍のWAWにも武器腕が対応できる。兵器としては実験段階にあり、完成された兵器である戦車やヘリ相手には(特に序盤)苦戦することもしばしばである。

学習値 編集

中隊の戦闘力の向上は紛争中に機体・武器性能が飛躍的な増大をすることでもあるが、特に重要なのはCOMの学習値を上げることである。学習値は機動・攻撃・防御の三種に区分され、これを割り振ることによってWAWは多様なアクションを覚えることになる。また、戦闘中に何を重視するかも、この設定によって決定される。

小隊員自体の個性は平たく言えば、この要素だけである。これは後のシリーズにも言えることであるが、あくまでもパイロットの能力とはコンピューターの性能・学習に乗っかるところが大きい。

バトルフィールド 編集

移動は各小隊毎にターゲット(中継ポイントもしくは敵)を設定することで自動的に行われる。この際は移動が阻害されないよう細やかな配慮が求められる。 移動中、敵に遭遇し戦闘になった際も大まかではあるが、各機体への指示が求められる。

フィールドには多様な地形が存在し、移動が制限されることもしばしば。よって有利な地形で敵を待ち受けることも重要である。また、迷彩を地形に合致したものに変更することによって、回避率を向上させることも可能である。

スタッフ 編集

サウンド 編集

効果音
本作では「ノーマルSE」と「リアルSE」の二種類の効果音(SE)が用意されている。「リアルSE」ではBGMをカットして、射撃音や小鳥のさえずりや風の音などがよりリアルに表現されている。
音楽
BGMは全編リョウアライ作曲によるテクノサウンド。
サウンドトラック
リョウアライ自身による「オフィシャル・リアレンジ・バージョン」として、本作のBGMが収録されたCDアルバムが1997年にデジキューブより発売された。ただしゲーム音源とは若干異なっており、CD未収録曲も数曲ある<ref>具体的には、ゲーム用にレートを落とす前の状態。未収録曲が出た理由は、ゲームに使用された曲が優に40曲を超えており、ディスク一枚制限の中完全収録が困難であったためである。(インタビューより)</ref>。発売元の破綻等の理由で長らく廃盤となっていたが、2006年11月22日にスクウェア・エニックスより再発売された。

その他 編集

  • 横たった3ピクセルの欧文フォントを用いたGUIデザインの部分が存在している。当然、26種+記号のアルファベット群を表現することはできないが、前後の文字列を見れば「視覚的に」は単語として認識できるはずで、単語として判別が曖昧な場合でも、さらに前後の単語を見れば「視覚的に」文章として認識ができるはずだ、という意図が盛り込まれている。この人間の視覚認識力を極限まで利用したタイポグラフィは社内で大紛糾したそうだが、原正憲の強い希望で実現に至った。
  • WAWのメインアーム・シールド等の名称の大半は性器・避妊具を意味するスラングに由来している。また、シンセミア小隊をはじめとしてドラッグに由来したキーワードが多用されている。
  • 1997年発売のオリジナル版のパッケージは表裏ともに黒地にロゴだけというシンプルなデザインで、商業主義との決別宣言とゲーム内容に対する自信が感じられる挑戦状的なデザインとなっていたが、初心者には不親切ともいえるものでもあり、アルティメットヒッツ版ではパッケージ裏に画面写真が2点追加されている。 
  • 本作に登場したアフリカ大陸を角付きの髑髏に見立てた絵(IMACの記章)が南アフリカ大使館からの抗議を受けたという逸話<ref>「DengekiGAMES 2004年2月号(フロントミッション100年史)」より</ref>が残されている。
  • EDは黒地に薔薇が飛び交うという非常にシュールなものであるが、薔薇はアフリカ原産の植物を欧州が改良したものである。よって、これは単に同性愛を暗示したものではない。

関連作品 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集