OpenEXR

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OpenEXRとは、米国インダストリアル・ライト&マジック(Industrial Light & Magic)が開発したHDR画像向けのファイルフォーマットである。

概要

昔ながらのBMPファイルJPEGファイルが各ピクセルRGB成分が8ビット整数なのに対して、 OpenEXRは各ピクセルRGB成分を「16ビット浮動小数点」「32ビット浮動小数点」「32ビット整数」のいずれかで保持できる。 言ってしまえばこれがすべてである。

OpenEXRは1999年にILMによって作成され、2003年に仕様書およびライブラリソースコードが一般公開された。 法人向けでは仕様公開直後から絶賛の嵐で、映画やテレビの制作に使用されるソフトウェアで広く採用された。

一方、個人向けではOpenEXRは一般人がパソコンで扱うにはデータ量が大きすぎるためあまり注目されていなかったが、 2010年代ごろからゲーム業界でもHDRが流行りだした際に「16ビット浮動小数点形式のテクスチャ画像」の標準フォーマットとして一気に広まった。

このフォーマットは何度か更新され、タイル、ミップマップ可逆圧縮ウェーブレットなどの新しい圧縮アルゴリズム、その他の機能のサポートが追加されている。

2007年にはOpenEXRがハリウッド映画業界の発展に大きく貢献したとしてアカデミー賞技術功労賞を受賞した。

圧縮形式

非圧縮

いわゆる非圧縮のビットマップ形式。 アホみたいにデータサイズがデカイためあまり見かけない。

Run Length Encoding

ランレングス圧縮Run Length EncodingRLE)を用いるもの。OpenEXRでもっとも標準的な圧縮形式である。

ZIP per Scanline

個々のスキャンラインごとにzlibdeflate圧縮を用いる。 「zip」という名称なのにzipファイルとは一切関係ないアルゴリズムだ。

ZIP 16 Scanline Block

一度に16スキャンラインに対してzlibのdeflate圧縮を用いる形式。 アニメ調などのフィルムグレインのない画像では効率が良い。

PIZ

PIZはウェーブレット変換ハフマン圧縮を組み合わせた新しい形式。 フィルムグレインが強い画像を扱う場合に非常に効率が良い。

PXR24

PXR24 (Pixar Animation Studios 24) は、32ビットの浮動小数点データを24ビットに変換した後、デフレート圧縮した形式。 「16ビット浮動小数点」「32ビット整数」では可逆圧縮、「32ビット浮動小数点」で非可逆圧縮となる。

ピクサーの映画で使っているらしい。

B44

B44は「圧縮後のデータサイズが常に一定」という形式である。この特性により一定幅でポインタをシークするだけで「コマ送り」「頭出し」ができるため、画をパラパラアニメ的に保持し、リアルタイムでコマ送り編集するような用途で用いられる。

B44A

B44の拡張。

DWAA

DWAA (DreamWorks Animation A)はJPEGライクな非可逆圧縮。 32スキャンラインをまとめて圧縮する。

ドリームワークスの映画で使っているらしい。

DWAB

DWAB (DreamWorks Animation B)はDWAAとほぼ同じ。 256スキャンラインをまとめて圧縮する。