X68000

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X68000(読み:えっくすろくまんはっせん、通称:ぺけろっぱ)とは、かつてシャープが発売していたパソコンである。

本項目では1987年に発売された初代X68000(型名CZ-600シリーズ)と、その後のX68000シリーズの概要についてあわせて記述する。

概要[編集 | ソースを編集]

X68000は類い稀なるコンピューターグラフィックス機能を筆頭とした非常に高度なハードウェアを有しており、また非常に高性能なX-BASICSX-Windowなどのソフトウェアをも有していた。性能および価格的にはMacにも対抗できうる存在であり、本来であればアメリカのMac、ヨーロッパのAmiga、アジアのX68000と言われてもおかしくないはずであった。

だが、それらをぶち壊す「ゲームごり押し」の圧倒的なマーケティングのセンスの問題で、Macどころか日本固有の事務機の一種であるPC-9801にすら敗北し、X68000は最初から最後まで「アホみたいに高額なゲーム機」として歴史に名を刻むだけの結果となった。

機種一覧[編集 | ソースを編集]

シャープ純正
発売年 機種名 型式 HDD容量 定価(円) カラー[※ 1] ボディー メモリー容量 特徴
1987年3月 X68000 CZ-600C - 369,000 E/B タワー 1MB CPU日立HD68HC000 10MHz搭載、SASI搭載
コナミグラディウス」バンドル
1988年3月 X68000 ACE CZ-601C - 319,800 GY/BK タワー 1MB 後部I/O配置変更、FDD強制イジェクト追加
HDD搭載モデル追加、ボディーカラー「ブラック」追加
X68000 ACE-HD CZ-611C 20MB 399,800
1989年3月 X68000 EXPERT CZ-602C - 356,000 GY/BK タワー 2MB メモリー2MB搭載初モデル
X68000 EXPERT-HD CZ-612C 40MB 466,000
X68000 PRO CZ-652C - 298,000 GY/BK 横置き 1MB 横置きボディ初モデル、拡張I/Oスロット4基
PRO専用キーボードマウス[※ 2]
X68000 PRO-HD CZ-662C 40MB 408,000
1990年3月 X68000 EXPERT II CZ-603C - 338,000 GY/BK タワー 2MB X68000ゴールドエンブレム採用
BIOS改良高速化、SX-WINDOW添付
X68000 EXPERT II-HD CZ-613C 40MB 448,000
1990年4月 X68000 PRO II CZ-653C - 285,000 GY/BK 横置き 1MB
X68000 PRO II-HD CZ-663C 40MB 395,000
1990年6月 X68000 SUPER-HD CZ-623C 81MB 498,000 TN タワー 2MB SASIを廃止しSCSI標準化
ボディーカラーを「チタンブラック」のみに
1991年1月 X68000 SUPER CZ-604C - 348,000
1991年5月 X68000 XVI CZ-634C - 368,000 TN タワー 2MB モトローラMC68000の16MHz標準化(10MHz切換付)
ボディ形状変更
X68000 XVI-HD CZ-644C 81MB 518,000
1992年2月 X68000 Compact CZ-674C - 298,000 グレー タワー 2MB 3.5インチFDD搭載、コンパクトボディ、別名CompactXVI
1993年3月 X68030 CZ-500C - 398,000 B タワー 4MB モトローラMC68EC030の25MHz標準化、メモリ4MB標準化
X68030レッドエンブレム、ボディ形状変更
X68030-HD CZ-510C 80MB 488,000
1993年5月 X68030 Compact CZ-300C - 388,000 B タワー 4MB 2HD/2DD両対応3.5インチFDD搭載
コンパクトボディ
X68030 Compact-HD CZ-310C 80MB 478,000
参考:他社改造発売製品
発売年 機種名 型式 HDD容量 定価(円) カラー ボディー メモリー容量 特徴
1992年5月 X68000 XVI Compact-HD CZ-310 80MB 466,000 グレー タワー 2MB CompactXVIに80MB2.5インチHDD内蔵
(株)計測技研発売
1993年6月 X68000 CompactXVI RED ZONE CZ-674C改 - 160,000 グレー タワー 2MB CompactXVIのCPUクロックを24MHzにオーバークロックしたもの
(株)満開製作所発売
X68000 CompactXVI RED ZOMBIE - クロックアップ耐性がなく24MHz駆動に耐えられなかった個体などを元の16MHzに戻して廉売したもの
(株)満開製作所発売
1994年9月 X68030 D'ash - 368,000 チタンブラック タワー 4MB X68030のCPUクロックを33MHzに改造したもの、50台限定
(株)満開製作所発売
1994年11月 X68030 HG/500 500MB 368,000 チタンブラック タワー 8MB X68030に500MB HDDと、8MBメモリーを搭載したもの
九十九電機(株)発売
1995年4月 X68030 HG/324 324MB 328,000 X68030に324MB HDDと、8MBメモリーを搭載したもの
九十九電機(株)発売
  1. B,BK:ブラック、G,GY:グレー、TN:チタンブラック
  2. PROシリーズにはパイオニアOEMも存在している(本体のSHARPロゴがPIONEERになっている)。主に伝言ダイヤルなどの制御用として使用されていた。

エミュレーター[編集 | ソースを編集]

エミュレーターは一般的にグレーゾーンどころか真っ黒なことも多いが、X68000についてはシャープから公式にエミュレーター開発用のBIOSOSが無償公開されている。目の付け所がシャープな、いわゆる神対応である。

エミュレーター開発は技術的にも情報量的にも簡単な部類ではないが、その中でも唯一と言っていいほど素晴らしい環境が整っているX68000は中級者以上がコンピューターの原理や、当時の技術者たちの職人芸をプログラミングを通じて学ぶ学習教材としては最適な存在であると言える。自前でX68000のエミュレーターを完成させたあかつきには、パソコンの大先生を卒業し、中級プログラマーになったと断言していいだろう。[1]

関連項目[編集 | ソースを編集]

参考文献[編集 | ソースを編集]

  1. さらに上の上級プログラマーを目指す者は人間アセンブラに挑戦しよう。