Zeebo

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Zeeboとは、ブラジルのZeebo Inc社(クアルコムセガ系列会社の合弁会社)が開発し、2009年に発売した据置型の家庭用ゲーム機である。

Zeebo Inc[編集 | ソースを編集]

一見すると怪しい新興企業と思われるかもしれないが、3G携帯電話の特許をほぼ全て押さえ携帯電話用チップで独占に近いマーケットシェアを保持し、世界の携帯電話業界を裏で支配している携帯電話大手のクアルコム社と、セガの正規代理店でメガドライブ3メガドライブポータブルなどのゲーム機を開発販売しているTecToy社の合弁会社である。

このためZeeboではCPUなどほぼ全ての半導体がクアルコム社の特製となっている。また、Zeeboのメニュー画面などのユーザーインターフェイスのデザイン及び開発は東京都千代田区の株式会社ヤッパが担当した。

概要[編集 | ソースを編集]

発表の際には「次の10億人」という標語が示された。これはWiiPlayStation3Xbox360といった当時の最新鋭ゲーム機たちとは競合しない、ブラジルやロシア、インド、中国などの通称BRICsと呼ばれる新興国市場での展開を意味している。これらの国々は先進国と比べ人口が桁違いに多いため未知の可能性を秘めているのは確かである。

しかも、本体は光学ドライブを搭載せず、フラッシュメモリと携帯電話モジュールを内蔵し、公式オンラインストアでゲームダウンロード販売パケット通信料は無料)という先進的すぎる内容であった。

見た目はPS3Xbox 360を配合した本体に、Wiiクラコンを搭載したような素敵なデザインとなっている。

その後[編集 | ソースを編集]

しかし、ソフトの充実した旧世代機、とりわけ発売後10年を経てようやくブラジルの一般市民にも手が届く価格帯となり、2009年にブラジルでも正式販売が開始されて流通が公になったPlayStation 2 (PS2)が競合機として立ちはだかった。「英語版の海賊版」がメインのPS2に対して、Zeeboのソフトは「ポルトガル語に完璧にローカライズされている」という利点はあったものの、結局2011年にブラジルとメキシコでのサービスを終了してしまった。

ネットワーク機能[編集 | ソースを編集]

Zeeboの最大の特徴はクアルコム製の3G携帯電話を内蔵している点である。据置ゲーム機にも関わらず、別途プロバイダ契約や無線ルータの購入などの設備投資も必要無く、単体で通信することができる。

ZeeboはPS3やXbox360などLAN端子を搭載したゲーム機とは大きく異なり、Zeebo自体が家庭内のネットワークインフラの拠点となる「Zeeboがルータになる機能」が搭載されていた。現在でいうポケットWi-Fiスマホテザリングに相当する機能が標準装備されていたのである。有線ネットワークインフラの弱い新興国において特に意味を持つと期待された。

ZeeboNet[編集 | ソースを編集]

Zeeboでは、ZeeboNetという専用のオンラインサービスからソフトを購入するようになっていた。つまりソフトはダウンロード販売のみでパッケージソフトは存在しない。これは完全に携帯電話と同様の考え方で、iPhoneのAppStoreやAndroidGoogle Playと同様のシステムと考えていただければわかりやすいと思う。しかもZeeboNetに限ればパケット通信料は無料となっていた。Zeebo本体のシステムアップデートもZeeboNet経由で自動的に行われた。

価格[編集 | ソースを編集]

Zeeboは「新興国向けの次世代ゲーム」という位置づけであり、価格はブラジルにて199ドルでスタート、2009年内には179ドル以下、2010年には149ドル以下を目標に逐次値下げする方針を表明していた。

なお、Zeeboのスタート価格は米ドル表記の199ドルだとWiiやXbox360などと大差ないと思われるかもしれないが、現地通貨であるブラジルレアルで比較すると、Wiiフィット及びバランスボートのセットと同等、Wii本体の1/3程度、Xbox360本体の1/5程度とかなり安い事がわかる。

また、本体には、プリインストールされた4本のソフトと、ZeeboNetから無料ダウンロードできる1本の無料購入券も含まれている。

サードパーティ[編集 | ソースを編集]

2009年3月24日時点で、セガカプコンナムコゲームロフトElectronics ArtsId Softwareアクティビジョンなど、大手ゲーム会社各社が参入を表明していた。

ゲームタイトルについては「Zeeboのゲームタイトル一覧」を参照してください。

本体性能[編集 | ソースを編集]

Zeeboのメインメモリは160MBと、同時期のハードウェアであるWiiの88MBより豪勢である。

CPUは、ARM11QDSP5の2種類を搭載したマルチプロセッサ構成となっている。 また、通信などのI/O処理で負荷が掛からないようARM9及びQDSP4の2つの補助的なプロセッサも搭載している。

GPUは、Qualcomm Adreno 130のカスタム品が用いられており、毎秒400万トライアングルのポリゴン描画能力を有している。これはDreamcastの毎秒300万トライアングルを超える性能である。

以上のように、基本性能はDreamcastPlayStation2と言った世代のゲーム機より若干優れる程度である。

ちなみにコントローラはUSB接続である。 発表会の一部デモ機では純正のWiiクラコン風コントローラではなく、PC用のUSBコントローラを使っていたので、たぶん実機でもPC用のUSBコントローラも使用できるものと思われる。

Platform Qualcomm Chipset
アプリケーションプロセッサ (Audio/Graphics) ARM 11 / QDSP-5 running at 528Mhz
3Dグラフィックプロセッサ Qualcomm Adreno 130 Graphics Core
Mobile Display Processor (MDP)
メインメモリ 128 MBytes DDR SDRAM + 32Mbyte stacked DDR SDRAM in MSM7201A
内蔵ストレージ 1GByteフラッシュメモリ
通信機能 Quad Band GSM/GPRS/EDGE (850/900/1800/1900) MHz
Tri Band UMTS/HSDPA/HSUPA (850/1900/2100) MHz
アンテナ 内蔵
モデム用 ARM 9 CPU / QDSP-4
端子類 USB2.0端子(通常) 前面に2個、背面に1個
USB2.0端子(Mini B) 背面に1個(サービス用、通常は使用不可)
外部ストレージ 前面にSDカードスロット1個

歴史[編集 | ソースを編集]

2008年11月[編集 | ソースを編集]

ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにて製作発表がなされ、Zeeboが初めて公に姿を現した。

2009年6月[編集 | ソースを編集]

リオにて希望小売価格499レアルで試験販売がなされ、試験販売の間に299レアルにまで値下げされた。2009年12月、ついにブラジル全土で販売が開始され、同時に28のゲームが発売された。 メキシコでも2009年11月に2,499メキシコ・ペソで全国販売がなされており、2010年4月に2249メキシコペソに値下げされた。 ブラジルでの発売当初は、2010年にはインドでの、2011年には中国での販売を予定していることを表明していた。

2010年5月[編集 | ソースを編集]

AT&Tとの提携を発表。将来的には北米市場へと進出する意図があることを表明した。

2010年9月[編集 | ソースを編集]

モデルチェンジ版のZeebo Dragonを発売。PlayStationのデュアルショックに酷似したコントローラーが付属していた。

2011年5月[編集 | ソースを編集]

ブラジルおよびメキシコでの販売終了を発表。

2011年9月[編集 | ソースを編集]

オンラインサービスのZeeboNetを終了。

関連項目[編集 | ソースを編集]