初心会

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初心会(読み:しょしんかい)とは、表向きは「玩具問屋の組合」であるが、実質的には任天堂の流通親睦会である。

概要

もともとは「ダイヤ会」と呼ばれる任天堂と花札屋時代から付き合い(直接取引口座)のあった一次問屋70社ほどを集めた親睦団体であった。つまり玩具問屋の組合である。

初心会はあらゆる玩具、ファミコンのみならずメガドライブなども扱っていたが、なかでも任天堂製品の流通に非常に強い影響力を持った団体であった。まず任天堂製品は基本的に初心会を経由した流通網以外からの仕入は不可能であった。そのため初心会の支配下にはいった小売店ではレジカウンターに任天堂の看板を掲げていた。初心会の支配下にあった小売店はピーク時には全国2万5000店舗を超えたと言われている。

なお、ナムコハドソンなどのファミコンの最初期を支えたメーカーについては特例が認められており、任天堂の委託生産を介さずに製造が行われていた。ただしナムコは法の拡大解釈によりカルチャーブレーンなどの製品の製造代行を行った。

初心会は任天堂より解散命令を受け1997年に解散したものの、プレイステーションで新規参入したSCEに敗北した原因の一つがこの団体の圧政によるメーカーと小売店の不信感がピークに達したためだったといわれている。

黄金のマリオ像

初心会への加盟にあたっては「黄金のマリオ像」をリース契約(フランチャイズ契約)しなければならなかった。 厳密にいえば初心会デザインの「看板と陳列棚」のリースであるが、そのオマケとして付属した「黄金のマリオ像」ばかり有名になったのでこのように呼ばれている。

分納

分納とは、一定数量の発注を掛けても、実際の納品は分割されて行われる方式のことである。初心会の代名詞となっている。

例えば年末にマリオの新作が出るとする。 発注書には「12月の新作発注数」を書く欄しかない。

更にそれが12月に来るかといえばそうではなく、分割して納入される。おまけにそのクソみたいな枠に入るためには前述の「金のマリオ像と黒枠ディスプレイ」のフランチャイズ契約を結ばなければならない。

  • 小売A「クリスマス商戦で売るから50本くれ」
  • 小売B「クリスマス商戦で売るから50本くれ」
  • 初心会「100本受注ゲットだぜ」
  • 任天堂「5本しか作れなかった」
  • 初心会「小売Aは態度が良いから3本ね。残りは年が明けてからね」
  • 初心会「小売Bは態度が悪いから2本ね。残りは年が明けてからね」
  • 小売A「」
  • 小売B「」

商戦は毎年決まった一定の期間であり、その期間の納品が優遇されるかは小売店の過去の実績によって変動した。これを実積配分という。 元々はファミコンのROMカセットの生産効率が悪かったために発生した事象だと言われている。 任天堂のROMカセット工場の生産能力の関係で生産が間に合わないにも関わらず、初心会は100%受注をうけ、実際に生産されたROMカセットは初心会の気分で納品が行われたというものである。

当然のように商戦時期を逃したROMカセットは不良債権である。 商戦時期に優遇してもらうため、商戦前の何でもない時期にクソゲーをも大量発注する実績作りが横行したと言われている。

生産

任天堂はある作品が大ヒットしたからといって増産することはなかった。 表向きは、ファミコンのROMカセットは生産を決めてから出荷までにかなりの時間がかかるため、2次出荷のころには賞味期限切れになっているからという建前である。 つまり初心会が発売前に受注した数量が総生産数・総出荷数となり、任天堂が抱える不良在庫はゼロという素晴らしいビジネスモデルである。

この生産システムにはもうひとつ裏の顔があり、 小売店は展示会に集められ品定めをするわけだが、出荷前どころか生産前、つまりまだ開発段階のものを参考にするしかないわけである。 そう、競馬でいうパドックである。 そして直感で発注する。 たとえば「100万本発注」し、それが大ヒットとなれば莫大な利益をもたらし脳汁ドバドバ、大爆死すればワゴンセールの末に担当者は地下帝国行きである。

つまり任天堂は御大尽たちに花札にかわる新たなるギャンブルを提供したのである。 小売店も一度脳汁ドバドバを体験してしまうとズルズルこの深みにハマっていった。

その後

任天堂は初心会の二台巨頭であったジェスネットとアジオカを買収した。

関連項目

参考文献