「スタッカブルスイッチ」の版間の差分
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2014年2月1日 (土) 12:18時点における最新版
スタッカブルスイッチ(英語:stackable switch)とは、イーサネットで使われるスイッチングハブ(以下スイッチ)のうち、複数台を連結した際に仮想的に1台に見せかけることのできる製品のことである。
概要[編集 | ソースを編集]
スタッカブルスイッチは、複数台のスイッチを仮想的に1台として扱うことができるスイッチである。「スタック」は日本語では「積み重ねる」という意味であり、複数台のスイッチを積み重ねたものを、あたかも単一のスイッチとみなすことができる。後から積み重ねるいわゆる増設も可能である。
スイッチ同士のスタック接続方式や上限台数はメーカーごとどころか、機種ごとに異なる。そのため基本的に異なる製品の混在はできない。稀にLAN端子のポート数だけが違う兄弟機種の場合に混在できることもあるが絶対ではない。そもそもスタック接続に使う端子も、専用端子であったり、SPF端子に専用モジュールを付ける方式だったりと様々である。
よって、購入に際してはメーカーによく確認する必要がある。
メリットとデメリット[編集 | ソースを編集]
スタッカブルスイッチのメリットとデメリットを大雑把に言えば、
- 管理が楽になり、
- 障害耐性も強くなるが、
- 価格が高い。
管理[編集 | ソースを編集]
家電量販店に売っているような家庭用の安物スイッチでは電源ケーブルとLANケーブルを指すだけで何も設定のない製品ばかりだが、企業向けの製品ではスイッチにIPアドレスを設定して、Webブラウザでログを見たり、SNMPでデータを飛ばしたり、VLANの設定をしたりなどの様々なリモート管理ができる。
このようなスイッチが複数台あると、それぞれ別のIPアドレスを利用して管理をしなければいけない。数台程度ならともかく、何十台にもなると、もうIPアドレスの把握だけで一苦労である。一方、スタッカブルスイッチであれば1つの管理用IPアドレスを利用して、スタックに含まれるすべてのスイッチの管理を行え、ネットワークの管理作業をシンプルにできる。
障害耐性[編集 | ソースを編集]
小規模なLANでよく使われるスイッチとスイッチを単純に繋ぐ「カスケード接続」では、あるスイッチが故障するとそこを経由するエリア全域が壊滅するが、スタッカブルスイッチの場合は基本的にリング状に接続するため、障害点を自動的に迂回することができ、被害範囲を抑えることができる。
また、スタッカブルスイッチとリンクアグリゲーションを組み合わせることで、1つのスイッチが故障してもリンクアグリゲーション側で「経路の断線」として扱い、別経路(別のスイッチ)でサービスを継続するという非常に強い冗長化を実現できる。
スタッカブルスイッチ単体では被害範囲を最小限にできるだけで被害が発生するという事実は残る。一方、リンクアグリゲーション単体ではLANケーブルの断線のみを保護できるだけであり、単体では冗長化よりも高速化を目的として利用されることが多い。
スタッカブルスイッチとリンクアグリゲーション、さらにこれに加えて電源も冗長化されていれば、三人よれば文殊の知恵である。
価格[編集 | ソースを編集]
2014年2月時点では、下位製品でも定価10万円、実売6万円程度となっている。非スタッカブルな製品が実売3万円程度であることを考えると、障害耐性を上げようと2台購入すると4倍の差となる。加えて設定も必要となるため若干の人件費も必要となる。つまりスタッカブルスイッチを利用すると5〜6倍のイニシャルコストは覚悟しておく必要がある。
ただし、ネットワーク障害発生時の人件費や機会逸失などをランニングコストとして加味しておくと、この程度はケチらない方が良い。
組織の規模が大きくなるとちょっとした工事ひとつでも、シミュレーションにシミュレーションを重ねての徹底的な計画をたて、非常に面倒な通達を出し続けての周知徹底が必要となるが、冗長化を徹底しておけば後々の手順が大幅に簡略化できるため、最終的にはランニングコストを大幅に下げる結果となる。ただし現実問題としてコスパやワッパどころか、イニシャルコストだけを気にする経営者が多いのも事実である。