IKVM.NET
IKVM.NETとは、オープンソースにより開発が行われているMono及び.NET Framework上で実装されたJava仮想マシン(Java VM)を含むJavaの実装である。
目次
概要[編集 | ソースを編集]
IKVM.NETは過去にマイクロソフトが提供していたJ#のようなJava類似言語ではなく、OpenJDKをベースとした純粋なJavaの仮想マシン(Java VM)が.NETの仮想マシン(共通言語ランタイム)上で動作するというものである。
IKVM.NETはあくまで実行環境のみであり、プログラミング言語としてのコンパイラ(javacコマンド)に相当するものは含まれていないため、プログラム自体の開発にはOracleなどが提供する各種JDKを用いて行う必要がある。
なお、IKVM.NETにはJavaのバイトコード(classファイルおよびjarファイル)を.NETのマネージコード(dllファイル)に変換するツールは含まれている。そのほかにもIKVM.NET独自のJavaクラスライブラリなども含まれている。
メリットとデメリット[編集 | ソースを編集]
.NETとJavaの2重の仮想化が行われるため速度面では不利だと言われている。 どの程度の差があるかは調査していないので何とも言えない。
一方で、C#やF#、Phalangerなどと同様に、.NETおよびJavaのライブラリなどをプログラミング言語レベルで一切意識せずに相互利用できる。
主な利用方法[編集 | ソースを編集]
Javaバイトコードを.NETマネージドコードに変換する[編集 | ソースを編集]
IKVM.NETに含まれる「ikvmc」コマンドを用いてJavaバイトコードをマネージドコードに変換できる。
Javaバイトコードをネイティブコード化に変換する[編集 | ソースを編集]
IKVM.NET自体の機能ではないが、IKVM.NETを用いてJavaバイトコードをマネージドコードに変換したのち、MonoのAOTコンパイラを用いてマネージドコードをネイティブコードに変換することができる。
なお、MonoのAOTコンパイラでコンパイルすると、プログラム起動用のマネージドコードなexeファイルと、そこから呼ばれるネイティブコードで出来たダイナミックリンクライブラリ(dllファイル)および共有ライブラリ(soファイル)が生成される。プログラムの起動にはMonoを必要とし、そこで実行環境を自動判別することでネイティブコードなのにWindowsとLinuxの切り替えを考える必要がないという構造になっている。
歴史[編集 | ソースを編集]
IKVM.NET 7.0[編集 | ソースを編集]
OpenJDK 7 b147 ベース。
インストール[編集 | ソースを編集]
下記からzipファイルをダウンロードして展開する。
使い方[編集 | ソースを編集]
単純なJava実装として使う場合は、IKVMを展開したディレクトリ内のbinディレクトリにJavaのjavaコマンドに相当するikvm.exeコマンドがいるのでこれを叩くだけである。
$ cd bin
$ mono ikvm.exe
usage: ikvm [-options] <class> [args...]
(to execute a class)
or ikvm -jar [-options] <jarfile> [args...]
(to execute a jar file)
(以下略)
Monoで用いる場合はシェルスクリプトによるショートカットを用意しておくと便利。 パスを指定している部分は各自の環境にあわせ書き換えること。
$ echo '#!/bin/sh'$'\nexec mono $MONO_OPTIONS "/opt/ikvm-7.0.4335.0/bin/ikvm.exe" "$@"' > /opt/ikvm-7.0.4335.0/bin/ikvm
$ chmod 755 /opt/ikvm-7.0.4335.0/bin/ikvm
関連項目[編集 | ソースを編集]
- Mono - IKVM.NETとの統合が進められている。
- MonoDevelop - IKVM.NET公式の統合開発環境