エンティティ・コンポーネント・システム
エンティティ・コンポーネント・システム(英語: Entity component system、通称:ECS)とは、「データ」と「処理」を完全に分離して考えるプログラミングの手法のひとつ。
「コンポーネント指向」とはまったくの別物。
目次
概要編集
ECSは「データ」と「処理」が分離していることで「階層構造がない」という特徴がある。 階層構造は「階層を大きく組み直したいとき」に依存関係が複雑すぎて「右を治したら左が壊れる」という状態に陥り破綻するという問題を抱えているが、ECSを使えばこの問題を回避できる。 このことから「上層部の思いつきによる急な仕様変更に強い」と言われる。
- 「階層化の有害性」も参照
いわゆる「オブジェクト指向」を全否定したものだが、一部のオブジェクト指向プログラミング言語との相性は悪くなく、インターフェイスと構造体とLINQを搭載するC#との相性は非常に良い。
主な用語編集
エンティティ編集
オブジェクト指向でいうオブジェクトに近いもの。オブジェクト指向でいう「メソッド」や「プロパティ」や「メンバ変数」などは一切持たず、エンティティの「識別子(ID)」と「コンポーネントの配列」だけを持つ。
class Entity {
public List<IComponent> Components { get; private set;} = new List<IComponent>();
}
コンポーネント編集
エンティティが持つ要素のひとつ。いわゆる「データ」である。 構造体で実装することが多い。
interface IComponent {
}
struct DrawableComponent : IComponent {
}
struct HitpointComponent : IComponent {
public int HitPoint;
}
システム編集
いわゆる「処理」である。エンティティの配列から特定のコンポーネントを持つものを抽出し、それらに対して処理を行う。
以下のような感じである。
- コンポーネントAを持つエンティティに対する処理(システム)
- コンポーネントAとコンポーネントBを併せ持つエンティティに対する処理(システム)