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JITコンパイラとは、[[インタプリタ]]の使い勝手で、[[AOTコンパイラ]]の速度を得るために考えられた手法である。 | JITコンパイラとは、[[インタプリタ]]の使い勝手で、[[AOTコンパイラ]]の速度を得るために考えられた手法である。 | ||
*[[インタプリタ]]に[[ソースコード]]を食わせると[[プログラム]]は走りだすが遅い。 | *[[インタプリタ]]に[[ソースコード]]を食わせると[[プログラム]]は走りだすが遅い。 | ||
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[[AOTコンパイラ]]では難しい不特定多数の実行環境での最適化に強いという特徴がある。 | [[AOTコンパイラ]]では難しい不特定多数の実行環境での最適化に強いという特徴がある。 | ||
JITコンパイラでは、[[コンパイル]]する環境と実行する環境が同一であるため、[[コンパイラ]]はその環境の[[リソース]]を調べ、リソースを使い切るような[[ネイティブコード]]を吐ける。 | JITコンパイラでは、[[コンパイル]]する環境と実行する環境が同一であるため、[[コンパイラ]]はその環境の[[リソース]]を調べ、リソースを使い切るような[[ネイティブコード]]を吐ける。 | ||
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− | + | JITコンパイラは手軽で実行速度も速いと完璧に見えるが、[[プログラム]]の起動速度が絶望的に遅いという弱点を抱えている。 | |
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+ | 最近では、[[サーバー]]用途など頻繁に再起動しない前提で起動速度の遅さを無視するような実装や、[[インタプリタ]]で即座に実行をはじめ、その裏で密かに[[コンパイル]]を実行し、コンパイルが完了した時点で[[プログラム]]の制御を何事も無かったかのように[[インタプリタ]]から[[ネイティブコード]]に移すという[[実装]]も現れてきており、体感的な起動速度は向上しはじめている。そのほかにも初回実行時の[[コンパイル]]結果を[[HDD]]や[[SSD]]などに[[キャッシュ]]しておくことで二回目以降の起動が速くなるという手法も見かける。 | ||
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+ | かつて、JITコンパイラを売りにする[[ベンダー]]が公表する[[ベンチマーク]]では、コンパイル時間を含めず、その後の処理開始から処理終了までを計測するという詐欺まがいの行為も多数見受けられた。 | ||
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2019年8月23日 (金) 07:15時点における最新版
概要編集
JITコンパイラとは、インタプリタの使い勝手で、AOTコンパイラの速度を得るために考えられた手法である。
なら、インタプリタ風にソースコードを食わせると密かにコンパイルして、コンパイルが終わったら勝手に実行すればいいんじゃね?という代物である。
最適化編集
AOTコンパイラでは難しい不特定多数の実行環境での最適化に強いという特徴がある。 JITコンパイラでは、コンパイルする環境と実行する環境が同一であるため、コンパイラはその環境のリソースを調べ、リソースを使い切るようなネイティブコードを吐ける。
たとえばPentium 4とCore i7ではレジスタ数や命令セットなどが異なるが、これをAOTコンパイラでPentium 4向けに最適化するとCore i7の全機能を生かしきれず、Core i7向けに最適化するとPentium 4で動かないという問題があるが、JITコンパイラであればどちらに最適化すればよいのかは自信の環境を調べれば簡単に判別可能であるため常に最適なネイティブコードが得られる。
起動速度編集
JITコンパイラは手軽で実行速度も速いと完璧に見えるが、プログラムの起動速度が絶望的に遅いという弱点を抱えている。 また、起動速度を現実的な範囲で抑えるためコンパイラの最適化処理をある程度で見切りを付けるようになってしまっていることも多い。
最近では、サーバー用途など頻繁に再起動しない前提で起動速度の遅さを無視するような実装や、インタプリタで即座に実行をはじめ、その裏で密かにコンパイルを実行し、コンパイルが完了した時点でプログラムの制御を何事も無かったかのようにインタプリタからネイティブコードに移すという実装も現れてきており、体感的な起動速度は向上しはじめている。そのほかにも初回実行時のコンパイル結果をHDDやSSDなどにキャッシュしておくことで二回目以降の起動が速くなるという手法も見かける。
コンピューターの性能も飛躍的に向上していることもあり、あまり気にならなくなりつつあるが、UNIXのコマンド群のような軽いコンソールプログラムなどでは微妙にストレスが溜まる。
ベンチマーク詐欺編集
かつて、JITコンパイラを売りにするベンダーが公表するベンチマークでは、コンパイル時間を含めず、その後の処理開始から処理終了までを計測するという詐欺まがいの行為も多数見受けられた。 とくにJavaとかである。