「PCエンジンコアグラフィックス」の版間の差分

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発売元:NECホームエレクトロニクス
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'''PCエンジンコアグラフィックス'''(型式:PI-TG3、通称コアグラ)とは、1989年12月8日に[[NECホームエレクトロニクス]]から発売した[[家庭用ゲーム機]]である。
発売:1989年12月8日
 
価格:24800円
 
商品番号:PI-TG3
 
  
AV出力標準装備の[[PCエンジン]]
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価格は24800円。ちょうど消費税が導入された年であり、まだ「税込み価格」という考え方がなく、価格表記は「税抜き」となっている。
  
 PCエンジンは周辺機器のみならず本体ハードの種類がやたらに多い。同時期にライバルだった任天堂の[[ファミコン]][[スーパーファミコン]]と比較するとよくわかるが、任天堂ハードが終始一貫してハードのデザイン・設計を変更しないのに対して、PCエンジンは中核となる本体ハード自体で毎年のようにマイナーチェンジ(基本性能は全く変化がない)を繰り返していた。同時期のもう一つのライバルであるセガの[[メガドライブ]]は途中で大きなデザイン変更([[メガドライブ2]])を行っているが、それでもその1度だけだ。
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[[PCエンジン]]の元祖である「[[PCエンジン (PI-TG001)]]、通称:[[白エンジン]]」の後続機である。
 PCエンジンのこうした姿勢はやはりNECというパソコン・家電メーカーの発想が大きく影響していたと思われる。常に「新商品」としてハードを売らなくちゃいけないという発想だ。パソコンもそうだが特に性能に大きな変化があるわけでもないのにちょこっと新機能などをつけて、名前もちょこっと変えて「バージョンアップ」した新商品のようにして売り、新たなユーザーを得ようという商法である。家庭用ゲーム機でこれをやるとマニアはともかく一般人にはどこかどう違うのか理解不能で、これが結果的にライトゲーマー層のPCエンジン入りの敷居を高くしたのは間違いない。
 
  
 この「PCエンジンコアグラフィックス」は、基本性能は初代「白PC」とほとんど変わりがない。大きな変更点は「白PC」がRF出力しか持たなかったのに対して専用端子によるAV出力を標準装備している点だ。あとは外見のデザインぐらい。無垢に真っ白だった「白PC」では汚れが目立つという判断もあったか、あるいは「重厚さ」を押し出そうとしたか、カラーリングは濃いグレーに青のロゴとなった。「エンジン」を意識したかと思われる横線のギザギザは引き継がれているが、白PCでは半円だった中央のふくらみは完全な円形となった。
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コアグラ発売の1ヶ月前に[[PCエンジンシャトル]]が発売し、さらにコアグラと同時に[[PCエンジンスーパーグラフィックス]]が発売となった。ほぼ同時発売であり実質的に廉価版のシャトル、通常版のコアグラ、上級版のスパグラという3種類のラインナップを用意したかたちである。これにより心理学的に絶対にやってはならないと言われる「[[極端の回避性]]」でシャトルとスパグラは壮大にコケたうえに、「[[選択肢過多]]」で[[PCエンジン]]自体の衰退をまねく起点となった。
  
コアグラ色ターボパッド 本体のカラーチェンジに伴い、同梱されるパッドもこれに合わせた色に変更された。 また「白PC」では同梱されるのが連射機能なしのパッドだったのに対して、コアグラ以降は連射機能つきのターボパッドが同梱とされていく。
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==白エンジンからの変更点==
  
 「コアグラフィックス」が発売されたのは1989年12月。PCエンジン発売開始から2年を経たこの時期、一定の成功をおさめていたNEC-HEはより高みを目指して強気のハード展開を行っている。11月に低年齢層向けの廉価PCエンジン「[[PCエンジンシャトル]]」を発売、12月には逆に高年齢のマニアゲーマー向けの上位互換機である「[[PCエンジンスーパーグラフィックス]]」を発売している。「スパグラ」と同時に発売開始されたこの「コアグラ」は両者の中間層を狙う主力商品、という位置づけだったのだろう。価格も据え置き、名前もPCエンジンが抱える「コア構想」を強く意識したものとなっている。
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*テレビとの接続がRFユニットからAV出力(コンポジット接続)に変更になった。これにともない右側の端子は[[RCA端子]]1個から[[DIN5ピン端子]]となった。以降、DIN5ピン端子は最後の[[PCエンジンDUO-RX]]までが採用されつづけた。
 「PCエンジン」ワールドを一つのハードではなく、それぞれのニーズに合わせた複線展開をすることで拡大していこう、という発想はまさにパソコン屋、家電屋のものだ。その発想自体は面白いのだけど、やはり外部からみると買い手の混乱を招いただけだったのではなかろうか。
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*付属ゲームパッドが連射機能つきのターボパッドになった。まさに邪道である。
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*筐体色がグレーになり、ロゴは水色になった。
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*筐体上部のデザインが古墳っぽいデザインから丸になった。
  
 初代「白PC」の後継である「コアグラフィックス」は、「シャトル」「スパグラ」がコケていくのを横目に結局PCエンジン界の中心であり続け、1991年6月に「SUPER CD-ROM2」構想の発表とともに発売開始された「コアグラフィックスII」に引き継ぐまで売られ続けた。販売台数は不明だが、白PCほどは売れなかったというのが実態ではないだろうか。先述の複数ハード戦略の混乱に加え、1990年年末には任天堂がスーパーファミコンを発売したため売れ行きでかなり押されてしまったのではないかと推測されるからだ。
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==関連項目==
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*[[PCエンジン (PI-TG001)]] = [[白エンジン]]
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*[[PCエンジンコアグラフィックスII]]
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[[category: PCエンジン]]

2020年2月4日 (火) 02:31時点における最新版

PCエンジンコアグラフィックス(型式:PI-TG3、通称コアグラ)とは、1989年12月8日にNECホームエレクトロニクスから発売した家庭用ゲーム機である。

価格は24800円。ちょうど消費税が導入された年であり、まだ「税込み価格」という考え方がなく、価格表記は「税抜き」となっている。

PCエンジンの元祖である「PCエンジン (PI-TG001)、通称:白エンジン」の後続機である。

コアグラ発売の1ヶ月前にPCエンジンシャトルが発売し、さらにコアグラと同時にPCエンジンスーパーグラフィックスが発売となった。ほぼ同時発売であり実質的に廉価版のシャトル、通常版のコアグラ、上級版のスパグラという3種類のラインナップを用意したかたちである。これにより心理学的に絶対にやってはならないと言われる「極端の回避性」でシャトルとスパグラは壮大にコケたうえに、「選択肢過多」でPCエンジン自体の衰退をまねく起点となった。

白エンジンからの変更点[編集 | ソースを編集]

  • テレビとの接続がRFユニットからAV出力(コンポジット接続)に変更になった。これにともない右側の端子はRCA端子1個からDIN5ピン端子となった。以降、DIN5ピン端子は最後のPCエンジンDUO-RXまでが採用されつづけた。
  • 付属ゲームパッドが連射機能つきのターボパッドになった。まさに邪道である。
  • 筐体色がグレーになり、ロゴは水色になった。
  • 筐体上部のデザインが古墳っぽいデザインから丸になった。

関連項目[編集 | ソースを編集]