「Write once, Run away」の版間の差分
(119.72.240.45(トーク)による第3315版を取り消し) |
Administrator (トーク | 投稿記録) (→概要) |
||
(10人の利用者による、間の21版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
− | + | '''Write once, run away'''(読み:らいと・わんす・らん・あうぇー)とは、「書いたら逃げろ」という意味の[[IT土方]]用語である。 | |
+ | |||
+ | == 概要 == | ||
+ | とりあえず動いてはいるが、ちょっとした要因で簡単ぶっ壊れるであろう[[システム]]を納品した際には、お金を貰ったらトラブルが発生する前に売り逃げしろという意味である。 | ||
+ | |||
+ | 不毛な[[価格競争]]の末に真っ先に削られるのは「普段は目に見えない項目」である。 | ||
+ | たとえば[[パソコン]]に付属する[[キーボード]]ひとつとっても[[カタログスペック]]に数字として載らないため今では粗悪品ばかりになった。[[マザーボード]]の[[コンデンサ]]も一定期間で安定して壊れる安物になった。 | ||
+ | |||
+ | これらと同様に価格競争をやりすぎた[[システム開発案件]]で真っ先に削られるのは[[安全対策]]である。 | ||
+ | |||
+ | 表面的に動いてさえいれば完成という激安システム。 | ||
+ | 住宅をはじめとした建築業界であれば法規制もあり手抜き工事として訴訟になることもあるが、[[IT業界]]には法規制もなにもないのでやりたい放題。 | ||
+ | [[契約書]]にも小さな文字で[[免責事項]]として書かれているので残念賞。 | ||
+ | |||
+ | [[システム]]が壊滅的に壊れれば業務が止まる。 | ||
+ | システムが乗っ取られれば[[情報流出]]などで信用問題に発展する。 | ||
+ | そしてその結果として[[倒産]]することもある。 | ||
+ | |||
+ | これらの大惨事になる大前提で、顧客に説明せず、安物を売り逃げするのである。 | ||
+ | |||
+ | 安物を求める[[顧客]]も悪いが、安物しか売れない無能な[[営業]]が一番悪いと言われている。 | ||
+ | |||
+ | == 削られやすい項目 == | ||
+ | === ハードウェア === | ||
+ | [[ハードウェア]]で言えば[[バックアップ]]が手抜きだったり、[[無停電電源装置]]が[[矩形波出力UPS]]だったり、そもそも[[サーバー]]が[[冗長構成]]になっていなかったりなどがこれに該当する。 | ||
+ | |||
+ | ハードウェアが新しいうちはまず問題になる事はなく、老朽化した時に一気に問題が噴出する。つまり「売り逃げしやすい部分」であるといえる。 | ||
+ | |||
+ | === ソフトウェア === | ||
+ | [[ソフトウェア]]で言えば[[プログラム]]内部の[[エラー処理]]は[[コーディング]]量を減らすため省略しまくり、[[単体テスト]]なども一切行っておらず、そもそも紙切れ1枚程度の簡単な[[仕様書]]すら存在しないなどがこれに該当する。売り逃げされた後に顧客が何かしようにも「設定は[[ハードコーディング]]されてて手も足も出ない」とかもザラにある。 | ||
+ | |||
+ | === 運用保守 === | ||
+ | 運用面でいえば売り逃げする大前提なので保守契約なども結ばれていないことが多い。[[保守]]などそもそも最初から計画されていないので、[[セキュリティパッチ]]など何それ、[[インターネット]]に公開している[[ECサイト]]や[[ブログ]]、[[ウェブサイト]]ひとつとってもサーバー構築時から放置され、[[ハッカー]]どころか[[ボット]]による[[クラッキング]]もやりたい放題という状況がこれに該当する。 | ||
+ | |||
+ | 特に問題になったのは「[[WordPress]]や[[Movable Type]]でウェブサイトを構築して納品したら終わり」というパターンである<ref>http://japan.zdnet.com/security/analysis/35050549/</ref>。 | ||
+ | WordPressやMovable Typeのは有名であるがゆえに[[ボット]]も多いのに放置プレイする者が後を絶たず、2013年には[[経済産業省]]の関連組織である[[情報処理推進機構]](通称:[[IPA]])が異例の警告を発表した<ref>[https://www.ipa.go.jp/security/topics/alert20130913.html WordPressやMovable Typeの古いバージョンを利用しているウェブサイトへの注意喚起]</ref>。 | ||
+ | |||
+ | == 関連項目 == | ||
+ | * [[Write once, run anywhere]] | ||
+ | * [[デスマーチ]] | ||
+ | * [[IT土方]] | ||
+ | * [[ブラック企業]] | ||
+ | |||
+ | == 参考文献 == | ||
+ | {{reflist}} | ||
+ | |||
+ | {{stub}} |
2023年3月15日 (水) 04:13時点における最新版
Write once, run away(読み:らいと・わんす・らん・あうぇー)とは、「書いたら逃げろ」という意味のIT土方用語である。
目次
概要編集
とりあえず動いてはいるが、ちょっとした要因で簡単ぶっ壊れるであろうシステムを納品した際には、お金を貰ったらトラブルが発生する前に売り逃げしろという意味である。
不毛な価格競争の末に真っ先に削られるのは「普段は目に見えない項目」である。 たとえばパソコンに付属するキーボードひとつとってもカタログスペックに数字として載らないため今では粗悪品ばかりになった。マザーボードのコンデンサも一定期間で安定して壊れる安物になった。
これらと同様に価格競争をやりすぎたシステム開発案件で真っ先に削られるのは安全対策である。
表面的に動いてさえいれば完成という激安システム。 住宅をはじめとした建築業界であれば法規制もあり手抜き工事として訴訟になることもあるが、IT業界には法規制もなにもないのでやりたい放題。 契約書にも小さな文字で免責事項として書かれているので残念賞。
システムが壊滅的に壊れれば業務が止まる。 システムが乗っ取られれば情報流出などで信用問題に発展する。 そしてその結果として倒産することもある。
これらの大惨事になる大前提で、顧客に説明せず、安物を売り逃げするのである。
削られやすい項目編集
ハードウェア編集
ハードウェアで言えばバックアップが手抜きだったり、無停電電源装置が矩形波出力UPSだったり、そもそもサーバーが冗長構成になっていなかったりなどがこれに該当する。
ハードウェアが新しいうちはまず問題になる事はなく、老朽化した時に一気に問題が噴出する。つまり「売り逃げしやすい部分」であるといえる。
ソフトウェア編集
ソフトウェアで言えばプログラム内部のエラー処理はコーディング量を減らすため省略しまくり、単体テストなども一切行っておらず、そもそも紙切れ1枚程度の簡単な仕様書すら存在しないなどがこれに該当する。売り逃げされた後に顧客が何かしようにも「設定はハードコーディングされてて手も足も出ない」とかもザラにある。
運用保守編集
運用面でいえば売り逃げする大前提なので保守契約なども結ばれていないことが多い。保守などそもそも最初から計画されていないので、セキュリティパッチなど何それ、インターネットに公開しているECサイトやブログ、ウェブサイトひとつとってもサーバー構築時から放置され、ハッカーどころかボットによるクラッキングもやりたい放題という状況がこれに該当する。
特に問題になったのは「WordPressやMovable Typeでウェブサイトを構築して納品したら終わり」というパターンである[1]。 WordPressやMovable Typeのは有名であるがゆえにボットも多いのに放置プレイする者が後を絶たず、2013年には経済産業省の関連組織である情報処理推進機構(通称:IPA)が異例の警告を発表した[2]。