Metalのデータ型
スカラー型
型 | 概要 |
---|---|
bool | true or false |
char | 符号付き8ビット整数 |
int8_t | |
unsigned char | 符号なし8ビット整数 |
uchar | |
uint8_t | |
short | 符号付き16ビット整数 |
int16_t | |
unsigned short | 符号なし16ビット整数 |
ushort | |
uint16_t | |
int | 符号付き32ビット整数 |
int32_t | |
unsigned int | 符号なし32ビット整数 |
uint | |
uint32_t | |
long | 符号付き64ビット整数
Metal 2.2以降 |
int64_t | |
unsigned long | 符号なし64ビット制す
Metal 2.2以降 |
uint64_t | |
half | 16ビット浮動小数点
IEEE 754のbinary16形式 |
float | 32ビット浮動小数点
IEEE 754に準拠 |
size_t | sizeof 演算子の結果を表す符号なし整数型。
実態は符号なし64ビット整数。 |
ptrdiff_t | 2つのポインタを引き算した結果の符号付き整数型。
実態は符号付き64ビット整数。 |
void | void |
サフィックス
- f または F = float, 0.5f
- h または H = half, 0.5h
- u または U = uint, 2u
- l または L = long, 2L
ベクトル型
スカラー型名の末尾に数字(ここではnとする)を付けるとベクトル型になる。 n には 2, 3, 4のいづれかの数字が入る。 「float2」や「float3」といった感じだ。 HLSLなどと同じだな。
- booln
- charn
- shortn
- intn
- longn
- ucharn
- ushortn
- uintn
- ulongn
- halfn
- floatn
ベクトル型のサイズは必ず2の乗数
Metalのベクトル型は「型のサイズは必ず2の乗数」となっている。
たとえば、
- int = 4バイト
- int2 = 8バイト
- int3 = 16バイト (12バイトではない)
- int4 = 16バイト
HLSLやGLSLで定数バッファーなどの構造体を作る際は、その構造体のサイズをGPUが扱いやすいよう「8バイト単位」や「16バイト単位」にする必要があり、シェーダーのプログラミングの際にはその構造体のサイズを手計算で算出して、バイト数が足りない場合はダミーの変数を追加してサイズ調整が必要である。
一方、Metalでは「必ず2の乗数」になるのでそのような手計算が必要ない。 HLSLやGLSLの感覚でサイズ調整すると無駄が発生するので注意すること。
ベクトル成分へのアクセス
- インデクサ
ベクトル型の成分へのアクセスには配列のインデックスを使用することができる。
float4 pos = float4(1.0f, 2.0f, 3.0f, 4.0f);
float x = pos[0]; // x = 1.0f
float y = pos[2]; // y = 3.0f
float4 vA = float4(1.0f, 2.0f, 3.0f, 4.0f);
float4 vB;
for (int i=0; i<4; i++) {
vB[i] = vA[i] * 2.0f // vB = (2.0, 4.0, 6.0, 8.0);
}
- 選択演算子を使用する
Metalではピリオド(.)を選択演算子、いわゆるスウィズル(swizzle)を利用してベクトルの各成分にアクセスすることができる。
<vector_data_type>.xyzw
<vector_data_type>.rgba
xyzwおよびrgbaの各成分(1文字)が配列インデックスに相当している感じである。
- x, r = 0
- y, g = 1
- z, b = 2
- w, a = 3
int4 test = int4(0, 1, 2, 3);
int a = test.x; // a = 0
int b = test.y; // b = 1
int c = test.z; // c = 2
int d = test.w; // d = 3
int e = test.r; // e = 0
int f = test.g; // f = 1
int g = test.b; // g = 2
int h = test.a; // h = 3
xyzwおよびrgbaの各成分は組み合わせて利用できる。 xとyの値が欲しい場合は「.xy」などと書ける。
float4 c;
c.xyzw = float4(1.0f, 2.0f, 3.0f, 4.0f);
c.z = 1.0f;
c.xy = float2(3.0f, 4.0f);
c.xyz = float3(3.0f, 4.0f, 5.0f);
並べ替えや複製もできる。
float4 pos = float4(1.0f, 2.0f, 3.0f, 4.0f);
// 並べ替え
float4 swiz = pos.wzyx; // swiz = (4.0f, 3.0f, 2.0f, 1.0f)
// 複製
float4 dup = pos.xxyy; // dup = (1.0f, 1.0f, 2.0f, 2.0f)
- 主なエラー
ベクトル型に宣言された成分以外の成分にアクセスするとエラーになる。
float2 pos;
pos.z = 1.0f; // エラー:2成分ベクトル型は.xy または .rg の要素にのみアクセスできる。
float3 pos;
pos.w = 1.0f; // エラー:3成分ベクトル型は.xyz または .rgb 要素にのみアクセスできる。
同じ成分に代入はできない。
pos.xx = float2(3.0f, 4.0f); // エラー:代入に「.xx」などは使用できない。
要素数が違うのもだめ。
pos.xy = float4(1.0f, 2.0f, 3.0f, 4.0f); // エラー:float2にfloat4は代入できない
1回のアクセスで.rgbaと.xyzwの混在はできない。
pos.xg = float2(3.0f, 4.0f); // エラー:xとgは混在できない。
// なお二行に分けた場合は問題ない。
pos.x = 3.0f;
pos.g = 4.0f
スウィズル付きのベクトル型のポインタや参照はエラーとなる。
float4 pos = float4(1.0f, 2.0f, 3.0f, 4.0f);
my_func(&pos.xy); // エラー
ベクトル型のコンストラクタ
コンストラクタを使用すると、スカラーまたはベクトルの集合からベクトルを作成することができます。パラメータシグネチャは、ベクトルの構築と初期化の方法を決定します。例えば、ベクターが単一のスカラーパラメータのみで初期化される場合、構築されたベクターのすべての構成要素はそのスカラー値に設定されます。
複数のスカラー、1つ以上のベクトル、またはスカラーとベクトルの混合物からベクトルを構築する場合、ベクトルの成分は引数の成分から順番に構築されます。引数は左から右の順に消費される。各引数は、次の引数の成分が消費される前に、順番にそのすべての成分が消費されます。
マトリックス型
halfおよびfloatの末尾に「nxm」と付けるとマトリックス型になる。 nとmの部分には2から4の数字が入る。
- halfnxm
- floatnxm