カプセル化(プログラミング)
カプセル化(英語:encapsulation)とは、オブジェクト指向を構成する概念の一つで、オブジェクト内部のデータを隠蔽したり(データ隠蔽)、オブジェクトの振る舞いを隠蔽したり、オブジェクトの実際の型を隠蔽したりすることをいう。
危険性
かつて偏差値の低い学校向けの情報処理系教科書において「カプセル化は大変すばらしいものであり絶対に使うように」と大体的に宣伝された。
一方、カリフォルニア大学バークレー校の有識者を中心とした「インターネットを作った人たち」は「階層化の有害性(RFC 3439)」として「カプセル化は絶対にやめろ」としている。
大雑把にいうと、教科書の上では素晴らしく最初は良くても、将来的な改修の際に隠蔽されたデータにアクセスできないと解決できない問題が出てきて、非常に高確率でデスマーチに陥るというのである。
オブジェクト指向の発案者であるアラン・ケイもコーディング規約(頭文字にアンダースコアを付けるなどの命名規則)で縛る程度にすることを推奨しており、アラン・ケイが関わったオブジェクト指向プログラミング言語にはどれも「private」などという概念はない。
ソースコードが存在し改修が可能であればカプセル化しても問題ない。ソースコードがあってもライセンス的に改修できない場合や、そもそもバイナリのライブラリしかない場合などは絶望的である。
実例
XNA(MonoGame)では標準で3Dモデルを手軽に扱えるModelクラスが用意されている。 1行で読み込み、1行で描画できる素晴らしいものだ。
ただしこのModelクラスを使うと頂点データは遮蔽されておりアクセスできない。 物理演算エンジンに食わせるのにどうしても頂点データが必要なのにだ。
世界中の誰もが同じ問題で悩んでいるようでstackoverflowに回避策が書いてあった。内部でGPUへ送信したときに使用したGPUにアクセスする関数ポインタは公開されているのでGetData関数でそのまま返してもらうトリッキーなコードでめでたく回避できた。
しかし、時は流れこの方法では動かない環境が登場した。iOSやAndroidだ。こいつらが採用するOpenGL ESはGPUとの通信が一方通行だ。そこで事前に3Dモデルから頂点データを抜き出し別ファイルに保存しておくという一段とトリッキーな方法で回避する。みごと1モデルのファイルが2個になりました。
さらに時は流れた。あるとき謎の不具合が発生。連日連夜のデバッグ作業。原因は片方のファイルの更新を忘れていただけでした。
カプセル化は恐ろしいね!!