「メンブレンキーボード」の版間の差分
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2012年7月13日 (金) 14:24時点における版
メンブレンキーボード(membrane keyboard)とは、接点の付いたシート状の素材(メンブレン)を押し、接触させることにより入力を行うキーボードのことである。「メンブレン」とは「膜」を意味する。
概要
メンブレンキーボードでは、メンブレンシートと呼ばれる薄膜スイッチ(メンブレンスイッチ)と、弾力(反発力)を得るためのラバードームと呼ばれるゴムをもちいた構造(アクチュエーター)を採用していることが多い。
メンブレンシートだけで出来たキーボードの一種としては、俗に言うガラケー(携帯電話)のボタンなどがあげられる。かつてはパソコン用のキーボードでもメンブレンシートだけで出来たキーストロークわずか数ミリという製品もあった。
なお、「メンブレンキーボードはキータッチが最悪だ」と言われることが多いが、メンブレンシートが悪いわけではなく、スイッチにメンブレンシートを採用するほどコストカットした製品では、アクチュエーターに安いゴム製のラバードームを採用していることが多いためであり、99%の確率でラバードームが粗悪なことによるものである。
静音
メンブレンスイッチ自体はキーストロークが1mm程度であり、音が出る以前に、押した感触すら無いに等しい。
また、メンブレンキーボードにおいて深いキーストロークを実現するために、大多数の製品で採用されるラバードームは、柔らかい押し味、かつ打鍵時の騒音も少なく静かである。この柔らかさに関しては賛否両論があり、とくに反発力が弱い点が指摘されることも多い。
なおゴム(ラバー)に加え、弾力(反発力)を得るため補助的にコニックリング(円錐スプリング)を仕込んだバックリングスプリングキーボードなる製品もあり、これもメンブレンキーボードの一種に分類されることが多いが、音や感触はどちらかというとメカニカルキーボードに近い。
軽い
メンブレンキーボードの大多数はビニールとゴムの塊なので非常に軽い。
キーボードの重量が軽いと底打ち時に発生する振動が問題となることが多いが、メンブレンキーボードの大多数が採用するラバードームはグニャグニャのゴムなので底打ち時の振動はあまり問題にならない。
一方で、ゴムの劣化により粘着力が出てくると、グニャッと底に張り付くという問題がある。これを底打ちならぬ「底付き」という。
耐久性
メンブレンスイッチは、ビニールシートに配線を圧膜印刷したものなので、打鍵しまくると電導インクが擦れて無くなり、反応しなくなる。これはプリント基板全般に共通することである。
また、ただのビニールシートなので耐水性は高く、濡れてもしっかり乾かせば復活する確率が高い。
また、メンブレンキーボードのアクチュエーターに多いラバードームはゴムなので耐久性は比較的乏しい。ラバードームの耐久性についてはラバードームの項目を参照。なお、ラバードームが劣化するとゴムに粘着力が出てきてキーの戻りが悪くなる。これを「底付き」という。
価格
メンブレンキーボードはビニールとゴムの塊なので、他の複雑な機構を採用したキーボードと比べて安価に製造できる利点がある。そのためメンブレンキーボードは、パソコンのコスト削減時に「キーボードは数字に表せない」というマーケティング的な理由により、真っ先に採用される粗悪なキーボードの代名詞となっている。
なお富士通のLibertouchのように高価な製品がないわけでもない。
その他
関連項目
- パンタグラフキーボード - メンブレンにパンタグラフを組み合わせたもの
- バックリングスプリングキーボード - メンブレンにスプリングを組み合わせたもの
- メカニカルキーボード - 中級キーボードの代名詞
- 静電容量無接点キーボード - 高級キーボードの代名詞
参考文献