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'''マルチサンプリングアンチエイリアシング'''([[英語]]:Multi Sampling Anti Aliasing、通称:MSAA)とは、[[3DCG]]における[[アンチエイリアシング]]の[[アルゴリズム]]の一種である。
 
'''マルチサンプリングアンチエイリアシング'''([[英語]]:Multi Sampling Anti Aliasing、通称:MSAA)とは、[[3DCG]]における[[アンチエイリアシング]]の[[アルゴリズム]]の一種である。
  
[[スーパーサンプリングアンチエイリアシング]](SSAA)の発展型である。MSAAもSSAA同様に出力解像度の数倍の解像度でレンダリングを行う。
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[[スーパーサンプリングアンチエイリアシング]](SSAA)の発展型であり、MSAAもSSAA同様に出力解像度の数倍の解像度でレンダリングを行う。
  
SSAAではクソ真面目に全[[ピクセル]]をx倍で計算していたが、MSAAでは[[ポリゴン]]のエッジ部分(深度差が大きい部分)以外は1回だけ計算して残りはコピーで埋める。つまり[[ポリゴン]]の内側部分は計算を大幅に省略する。
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ただしSSAAではクソ真面目に全[[ピクセル]]をx倍で計算していたが、MSAAでは[[ポリゴン]]のエッジ部分以外は1回だけ計算して残りはコピーで埋める。つまり[[ポリゴン]]の内側部分は計算を大幅に省略する。
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[[ファイル:MSAAの概略図1.png|代替文=|なし|フレーム|赤色の部分は低解像度でレンダリングしているので負荷が低い。]]
  
[[ポリゴン]]の内側を省略するということはポリゴンの大部分を占めるであろう[[テクスチャ]]には[[アンチエイリアシング]]がかからない。
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処理対象の[[ピクセル]]が「エッジ部分か」の分岐処理は「[[サブピクセル]]に深度差の大きい部分が含まれるか」で判断する。
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[[ファイル:MSAAの概略図2.png|代替文=|なし|フレーム|赤枠内に白色(深度差の大きい部分)が含まれるかで判断。]]
  
また[[遅延レンダリング]]では一通りのポリゴンのレンダリングが終わった時点になると深度情報が欠落しているためMSAAを適用するのは難しい。
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[[ポリゴン]]の内側を省略するということはポリゴンの大部分を占めるであろう[[テクスチャ]]には[[アンチエイリアシング]]がかからないということでもある。つまりMSAAは完全に[[ジャギー]]の低減に特化したものである。
  
 
MSAAはSSAAに比べると若干品質は劣るが圧倒的に軽い。
 
MSAAはSSAAに比べると若干品質は劣るが圧倒的に軽い。
  
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[[遅延レンダリング]]では一通りのポリゴンのレンダリングが終わった時点になると深度情報が欠落しているためMSAAを適用するのは難しい。この問題の解決策としては、高解像度の[[フォワードレンダリング]]で深度計算のみを行い、出力解像度の[[遅延レンダリング]]の結果と合成する「[[Deferred MSAA]]」なる技法などが考案されている。

2021年6月3日 (木) 05:56時点における最新版

マルチサンプリングアンチエイリアシング英語:Multi Sampling Anti Aliasing、通称:MSAA)とは、3DCGにおけるアンチエイリアシングアルゴリズムの一種である。

スーパーサンプリングアンチエイリアシング(SSAA)の発展型であり、MSAAもSSAA同様に出力解像度の数倍の解像度でレンダリングを行う。

ただしSSAAではクソ真面目に全ピクセルをx倍で計算していたが、MSAAではポリゴンのエッジ部分以外は1回だけ計算して残りはコピーで埋める。つまりポリゴンの内側部分は計算を大幅に省略する。

赤色の部分は低解像度でレンダリングしているので負荷が低い。

処理対象のピクセルが「エッジ部分か」の分岐処理は「サブピクセルに深度差の大きい部分が含まれるか」で判断する。

赤枠内に白色(深度差の大きい部分)が含まれるかで判断。

ポリゴンの内側を省略するということはポリゴンの大部分を占めるであろうテクスチャにはアンチエイリアシングがかからないということでもある。つまりMSAAは完全にジャギーの低減に特化したものである。

MSAAはSSAAに比べると若干品質は劣るが圧倒的に軽い。

遅延レンダリングでは一通りのポリゴンのレンダリングが終わった時点になると深度情報が欠落しているためMSAAを適用するのは難しい。この問題の解決策としては、高解像度のフォワードレンダリングで深度計算のみを行い、出力解像度の遅延レンダリングの結果と合成する「Deferred MSAA」なる技法などが考案されている。