NEC V30
NEC V30とは、1984年にNECから発売した「Intel 8086とピン互換(同じソケット形状)」で、かつ「Intel 80186と命令セットに互換性」があり、かつ「独自命令」を搭載したCPUです。
大雑把にいうと「8086向けの部材を流用して80186互換機を作れる」というものでした。
後に80186相当から80286相当にパワーアップした「NEC V33」が登場して割と人気になりました。 または8086互換ではなく8088互換の「NEC V20」という下位製品もありました。
追加命令セット 編集
V30にはIntel 80186にはない命令セットが追加されています。 これらをIntel 80186で動かした場合は「無視される」という挙動になります。 一方で後にIntel 80386で追加された命令セットと一部被っているものがあり、V30向けのプログラムをIntel 80386で動かすと暴走するという残念な結果になりました。
ビット操作 編集
これらと同じような命令はインテル純正ではPentium 3(1999年)でやっと登場しました。いくらなんでも先走りすぎですね。
- TEST1: 特定のビットをテスト
- SET1: 特定のビットをセット(1にする)
- CLR1: 特定のビットをクリア(0にする)
- NOT1: 特定のビットを反転
パックドBCD演算命令 編集
これらの命令はメモリに格納された大きなパックドBCD形式の数値の演算を可能にします。
- ADD4S: パックドBCDの加算
- SUB4S: パックドBCDの減算
- CMP4S: パックドBCDの比較
ニブル操作命令 編集
4ビット(ニブル)単位でデータを操作する命令です。
- ROL4: 4ビットニブルの左ローテート
- ROR4: 4ビットニブルの右ローテート
リピート命令 編集
CYキャリーフラグが変化するか、またはCWレジスタの数値がゼロになるまでループする命令です。 主に文字列操作(文字列比較など)を高速に行うのに使われるものです。
- REPC: CY=0 または CW=0
- REPNC: CY=1 または CW=0
Intel 80286由来の命令 編集
V30はIntel 80286で導入されたいくつかの命令も実装しています:
- BOUND: 配列境界チェック
- ENTER: プロシージャ入口の作成
- LEAVE: プロシージャ出口の作成
- INS: 入力文字列
- OUTS: 出力文字列
8080エミュレーションモード 編集
V30には8080エミュレーションモードがあり、以下の命令でモードの切り替えを行います:
- BRKEM: 8080エミュレーションモードに入る
- RETEM: 8080エミュレーションモードから戻る