初心会

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初心会(読み:しょしんかい)とは、表向きは「任天堂と付き合いのある玩具問屋の親睦会」である。実質的には任天堂の流通を仕切っていた二次団体である。

概要[編集 | ソースを編集]

もともとは「ダイヤ会」と呼ばれる任天堂と花札屋時代から付き合い(直接取引口座)のあった一次問屋70社ほどを集めた親睦団体であった。つまり玩具問屋の組合である。一見すると暴力団のような名称だが、実際にやっていた事もほぼ同一であると言われている。

「初心会=任天堂」というイメージが強いが、初心会は玩具問屋の集団でありトランプや花札など様々な玩具、さらには家庭用ゲーム機もファミコンだけでなくメガドライブPCエンジンなども扱っていた。

そのなかでも初心会は任天堂からファミコンスーパーファミコンに関連した製品を「全量買取」する条件で「流通を独占」したことで非常に強い影響力をもった。任天堂としても初心会から上がってくる予約数から生産量を予想でき、さらに初心会による全量買取により在庫リスクがゼロになるというメリットもあった。これにより初心会と任天堂は完全に別組織であったが、次第まるで初心会が任天堂であるかのごとく「マリオの名前」などを使うようなっていき一心同体となっていった。

これにより任天堂製品は初心会が流通を独占したため、基本的に初心会以外の流通網からの仕入は不可能になり、初心会の流通網から仕入れるには「初心会にフランチャイズ加盟」する必要があった。初心会の支配下に入った小売店にはレジカウンターに「任天堂の看板」を掲げ、「任天堂のショーケース」に製品を並べ、「金のマリオ像」を陳列していた。さらに価格統制や試遊台の禁止なども徹底していた。初心会の支配下にあった小売店はピーク時には全国2万5000店舗を超えたと言われている。

様に初心会はサードパーティのゲームソフト開発会社にも強い影響力を持った。そもそも「任天堂の委託生産」の窓口は初心会であった。それに流通網を独占しているため初心会に嫌われれば出荷できないわけである。

要約するとメーカーには「任天堂への委託生産」、小売店には「初心会のフランチャイズ」という名目で暴力団のみかじめ料のようなビジネスモデルを家庭用ゲーム機業界に持ち込んだ団体である。

初心会はコンビニ流通などに押されて任天堂より解散命令を受け1997年に解散したものの、プレイステーションで新規参入したSCEに敗北した原因の一つがこの団体の圧政によるメーカーと小売店の不信感がピークに達したためだったといわれている。

例外[編集 | ソースを編集]

なお、ナムコハドソンなどのファミコンの最初期を支えたメーカーや、初心会にも動じない影響力をもったバンダイなどについては特例が認められており、初心会および任天堂の委託生産を介さずに製造が行われていた。これらの特別枠のメーカーはカセットの形状が異なるので非常にわかりやすい。

ただしナムコは法の拡大解釈によりカルチャーブレーンなどの製品の製造代行を行ったため初心会から鉄拳制裁を喰らったと言われている。具体的には初心会加盟の小売店にナムコ製品排除の圧力をかけるというものであった。ちなみにこのときナムコ製品の販売を強行した会社があった。あのTSUTAYAである。その影響で行き場を失ったナムコの頑張りによりプレイステーションは大成功したとも言われている。

黄金のマリオ像[編集 | ソースを編集]

初心会への加盟にあたっては「黄金のマリオ像」をリース契約(フランチャイズ契約)しなければならなかった。厳密にいえば初心会デザインの「看板と陳列棚」のリースであるが、そのオマケとして付属した「黄金のマリオ像」ばかり有名になったのでこのように呼ばれている。

大雑把にいえば暴力団のフロント企業が、風俗店やスナック、キャバクラなどにリースしている観葉植物とまったく同じビジネスモデルである。

分納[編集 | ソースを編集]

分納とは、一定数量の発注を掛けても、実際の納品は分割されて行われる方式のことである。初心会の代名詞となっている。

例えば年末にマリオの新作が出るとする。発注書には「12月の新作発注数」を書く欄しかない。マリオが200本欲しい場合は「200」と書く。 そうすると12月発売の全ての新作ソフトに200本の発注かかる。メーカーにとってみればビッグタイトルと同月発売できればクソゲーでもウハウハであった。

更にそれが12月に来るかといえばそうではなく分割して納入される。おまけにそのクソみたいな枠に入るためには前述の「金のマリオ像と黒枠ディスプレイ」のフランチャイズ契約を結ばなければならない。

  • 小売A「クリスマス商戦で売るから50本くれ」
  • 小売B「クリスマス商戦で売るから50本くれ」
  • 初心会「100本受注ゲットだぜ」
  • 任天堂「5本しか作れなかった」
  • 初心会「小売Aは態度が良いから3本ね。残りは年が明けてからね」
  • 初心会「小売Bは態度が悪いから2本ね。残りは年が明けてからね」
  • 小売A「」
  • 小売B「」

商戦は毎年決まった一定の期間であり、その期間の納品が優遇されるかは小売店の過去の実績によって変動した。これを実積配分という。元々はファミコンのROMカセットの生産効率が悪かったために発生した事象だと言われている。 任天堂のROMカセット工場の生産能力の関係で生産が間に合わないにも関わらず、初心会は100%受注をうけ、実際に生産されたROMカセットは初心会の気分で納品が行われたというものである。

当然のように商戦時期を逃したROMカセットは不良債権である。商戦時期に優遇してもらうため、商戦前の何でもない時期にクソゲーをも大量発注する実績作りが横行したと言われている。そうして発注されたクソゲーは「抱き合わせ商法」で販売されたり980円でバラ撒かれるなどした。

生産[編集 | ソースを編集]

任天堂はある作品が大ヒットしたからといって増産することはなかった。表向きは、ファミコンのROMカセットは生産を決めてから出荷までにかなりの時間がかかるため、2次出荷のころには賞味期限切れになっているからという建前である。つまり初心会が発売前に受注した数量が総生産数・総出荷数となり、任天堂が抱える不良在庫はゼロという素晴らしいビジネスモデルである。

この生産システムにはもうひとつ裏の顔があり、小売店は展示会に集められ品定めをするわけだが、出荷前どころか生産前、つまりまだ開発段階のものを参考にするしかないわけである。そう、競馬でいうパドックである。そして直感で発注する。たとえば「100万本発注」し、それが大ヒットとなれば莫大な利益をもたらし脳汁ドバドバ、大爆死すればワゴンセールの末に担当者は地下帝国行きである。

つまり任天堂は御大尽たちに花札にかわる新たなるギャンブルを提供したのである。小売店も一度脳汁ドバドバを体験してしまうとズルズルこの深みにハマっていった。

その後[編集 | ソースを編集]

1995年ごろよりソニーとセガの二大メーカー体制が気づかれ初心会は徐々に体力を削られていった。そして2006年にハピネット(バンダイの流通部門)が初心会の大幹部「モリガング」を買収したことで一気に崩壊した。この混乱に際して任天堂は初心会の二台巨頭であったジェスネットとアジオカを買収した。これにより名実ともに任天堂の一部となった。

関連項目[編集 | ソースを編集]

参考文献[編集 | ソースを編集]