副作用
副作用(読み:ふくさよう)とは、プログラミングにおいて、あるメソッドの引数と戻り値以外の要素が、そのメソッドの動作に影響を及ぼすことをいう。
概要
プログラミングにおける副作用とは、グローバル変数などの要素があるメソッドの動作に影響を及ぼすことをいう。本来であればメソッドの引数と戻り値だけを考慮すればいいはずであるが、メソッド内部でグローバル変数を参照するなどしていることにより、それらもすべて把握していなければそのメソッドを利用することができないという状態である。
オブジェクト指向で顕著になる
副作用はとくに肥大化したオブジェクト指向プログラミング言語を使用したプロジェクトで問題視されることが多い。
たとえばC#などのクラスベースオブジェクト指向におけるフィールド変数(言語によってはメンバ変数やインスタンス変数とも呼ばれる)やプロパティは、実質的にC言語などのグローバル変数となんら変わらなく、その内容がメソッドの動作に影響を及ぼすため、これらをすべて把握していなければ正しい利用は難しくなる。
また、オブジェクト指向ではフィールド変数やプロパティがクラスになっていることも多いため、その先々のフィールド変数やプロパティがもたらす副作用まで同様にすべてを把握していなければならない。オブジェクト指向は小規模なうちはC言語におけるグローバル変数よりも影響範囲は少ないように思えるが、プロジェクトが肥大化し階層構造が複雑化した後にはデスマーチへの片道切符であるといえ、まさに「階層化の有害性」であるともいえる。
プロジェクトの規模が小さいうちは問題になることは少ないが、複数人が関わるプロジェクトでは認識の食い違いなどが発生し、最終的に殴り合いになる。
回避策
これらを回避する目的で様々な手法が考案されている。
プログラミング言語レベルでの回避策
副作用をもつプログラミング言語を根絶しよう考案されたのが関数型プログラミング言語である。
関数型といってもJavaScriptなど多くのプログラミング言語は「副作用を低減しよう」というものであり、逃げ道的な要素を残していることが多く、まずはプログラマーの教育が非常に重要な要素となる。
一方で副作用を絶対悪とし完全排除を試みたプログラミング言語もあり、それらは「純粋関数型プログラミング言語」と呼ばれる。たとえばHaskellなどでは引数と戻り値がすべてであり、それ以外は絶対に許されないという言語仕様で副作用を封じ込めている。ただ純粋関数型であっても業務システムではほぼ必須となるデータベースなどの広く共有する部分がグローバル変数的に機能するため副作用の完全なる排除は難しいのが実情である。
これらに移行するには慣れと経験が必要であり学習能力の低いプログラマーには難易度が高いという問題点を抱えている。
プロジェクト運用レベルでの回避策
その他にも急激な変化は難しいプログラミング言語などは現状維持し、プロジェクトに関わる人々の人事などで副作用を軽減しようという手法が考案されている。それらをまとめて最近では「アジャイル」という。
ただしペアプログラミングやRAIDプログラミングは、派遣社員が大半を占め、人的リソースの入れ替わりが激しいに日本でこそ有意義な仕組みであるが、日本では実践しているという話はあまり聞いたことがない。
また、やらないよりはマシな程度の効果ではあるがコードレビューも有効であるとされる。