Vulkan
Vulkan(読み:ゔぁるかん)とは、米国Valve Corporationの子会社のLunarG社が開発した3DCG向けのAPIである。現在はLunarGからクロノスグループに寄贈され表向きは同団体が管理していることになっている。
Vulkan SDKはLunarGのサイトからダウンロードできる。
目次
概要
大雑把にいえばVulkanはDirect3DやMetalのパクリですと同等品です。
だたしDirect3DやMetalと比べてVulkanでは何をするにも面倒なのが特徴で、兎にも角にもソースコードの記述量が半端なく多くなります。
もともとはValve(の子会社のLunarG)がSource EngineおよびSteamOSを開発するにあたり、あまりにOpenGLが絶望的な状況であるため、その代替品として開発を始めたものです。
- OpenGLでムカつくこと
- OpenGLドライバー品質の実情
後にGoogleがAndroidへのVulkanの採用を決め、LunarGから派遣社員を雇い入れたことから、現在は「Googleの意向」が非常に強く反映されています。SteamOSもSteam Machineも大流行には至らなかったこともあり、実質的にVulkanはAndroid専用APIとなりつつありました。なお、Steam Deck(StreamOS 3.0)の登場によりパソコン界隈でもまさかの復活を遂げています。
OpenGLの各種APIといえば頭文字「gl」であったがVulkanでは頭文字「vk」となっています。
OpenGLからの大きな違いとしてはパイプラインの概念が登場し、なんでもかんでもシェーダーで処理するようになっており、Vulkanでは直線や円を描くなどちょっとしたことでも自前で壮大なシェーダーを用意して処理しなければなりません。また、初期化ルーチンだけでもDirect3DやMetalと比べて桁違いに膨大なソースコードの記述を要求します。
いわゆるマウスでポチポチとシェーダーを構築できる「シェーダーグラフ」などを開発する前提のものであり、大多数のプログラマーがソースコードを手書きすることは想定されていないものと思われます。
シェーディング言語
OpenGLと異なりVulkanでは「SPIR-V」という中間コードにコンパイルする方式が採用されている。
GoogleがDirectX Shader Compilerを魔改造した結果、HLSLからSPIR-Vを出力できるようになった。このためVulkanではOpenGLのGLSLとDirectXのHLSLのどちらも利用できる。
- MacでDirectX Shader Compilerをビルドする
- DirectX Shader CompilerでSPIR-Vを出力する
- SPIR-VからGLSLを生成する
- SPIR-VからHLSLを生成する
主なVulkanを使えるGPU
- Intel HD Graphics 5000 以降 (第5世代Core)
- AMD GCN 以降
- NVIDIA Kepler 以降
主なOSの対応状況
Windows
主に「Direct3D 12またはVulkan」という厳し目の動作条件のゲームにおいて、Direct3D 11世代のビデオカードを積んだゲーミングPCしか持っていない人たちの間で人気がある。
またエルデンリングなどの「Direct3D 12専用」を掲げるゲームなどでは「D3D12をVulkanに変換するDLL」や「D3D12をD3D11に変換するDLL」なるものが出回っており、これまたDirect3D 11世代のビデオカードを積んだゲーミングPCで強引に動かすことなどが行われている。
Linux
しらん。もともとはLinuxベースのSteamOSでOpenGLを置き換える目的で開発されたものなので一番まともに動くはずだが試してはいない。LinuxでVulkanを試すならSteamOSを入れるのが一番手っ取り早いと思われる。
Android
Androidはだいたいいける。というかVulkanがOS標準なのはAndroidくらいであり、実質的にVulkanはAndroid専用APIだ。そもそもAndroid以外でVulkanを使っているという話は聞いたことがない。
ただしAndroid SDKに付属のエミュレーターでは動かないぞ。公式エミュレーターではvkEnumeratePhysicalDevicesメソッドを呼び出しても何も返ってこない。残念。
Android 10からは「Vulkan対応」が必須要件となった。 Android 10以降はVulkan対応率100%だ。
macOS
macOSではMoltenVKを利用する。とりあえず動くのは確認した。